1.《ネタバレ》 場所はブエノスアイレスだそうだが都心ではなく南米風にも見えず、戸建てが並ぶ郊外の緑豊かな住宅地である。日本でいえば呪怨の家で、事故物件住みます中高年のようなことをやっている印象だった。若い女性は出ないので、そういう面での彩りはない。
ホラーとして特に独創的に見えるところはなく、怖さを突き詰めようとした感じもないがまあ悪くない。看板娘的な存在のはずの裸体のものは、見えたり見えなかったりする設定のためか意外に出番が少なかったが、少し離れたところから見えると言ったとたんに迫って来たのは、見たな~という感じで悪くない。物静かなゾンビ少年も悪くなかった。
出来事の原因に関しては、偉そうな博士が何か適当に説明していたが荒唐無稽で聞く気にならない。こんな説明ならなくていい。
それより個人的には初老の男の意見として、見なかったふりして放置するのがいい、と述べたところに共感した。しかしその男が後で目をやられていたのは、見ようとしないのなら目など不要だろう、という皮肉な意味だったかも知れない。また主人公らしき男が、見えていたものを見えなくした(隠した)ことを微妙な関係の女性に咎められていたが(連れ子は見たくないという意味?)、その後に一度逃げてからまた戻っていたのは、もう見えないふりをせず、正面から対決しようと決心したということか。
どうも見える/見えない、あるいは見る/見ないの対比にこだわった映画にも見えたが、少なくとも自分には意味不明瞭なまま終わってしまった。とりあえずヤバいものはやはり見ないことにするのが基本ではないかとは思うが、見ないでいると致命的な結果に至ることもあるとすれば一般論ではなかなか語れない。ちなみに怖いのが嫌ならこの映画は見なくていい。
全体としては、悪くないとはいえるが意味不明なところもあり、絶賛するほどではないが嫌いでもないので悪くない点にしておく。なおハリウッドでリメイクされる予定はどうなったか知らないが、それとは別にこれ自体の続編も準備中らしい。今作のラストから直接つながる形になるそうで、そういえば最初から続きを予感させる背景音楽のようではあった。