1.《ネタバレ》 街の片隅に佇むその古ぼけた映画館では、夜な夜な誰も知らないような無名の作品が上映される。観客は常にたった一人。しかもどうしてこの映画館にやってきたのかすらぼんやりとして思い出せない。やがて独りぼっちの観客は驚きの真実を知ることになる。なんと映画の主人公は、自分自身だったのだ。今夜も血と恐怖にまみれた「悪夢の映画」の幕が上がる――。第一話『森の中の物体X』。広い森の中を逃げ惑う血だらけの若い女性。追ってくるのは溶接用の仮面を被り、ガスバーナーを手にした謎の男。森の中でボーイフレンドと再会した彼女は一軒の小さな山小屋の中へと逃げ込むのだが、そこで驚愕の真実を知ることに。監督はキューバの新鋭、アレハンドロ・フルゲス。ベタベタなスプラッター・ホラーと見せかけて、後半に驚異のどんでん返しを見せるアイデアはなかなかグッド。演出もキレがいいし、特にモンスター視点で画面を見せるとこは面白かった。ただ良くも悪くもチープすぎるのが難点か。6点。第二話『ミラリ』。優しい彼氏との結婚を控えた若い女性。だが、彼女には唯一の悩みの種が。顔の目立つところに大きな傷跡があるのだ。彼の両親に会う前に、彼女は言われるまま整形手術を受けることに。だが、手術室から帰ってきた彼女は自らの身体に加えられた〝改造〟に気づいてしまう。監督はハリウッドのベテラン、ジョー・ダンテ。ワンアイデアながら長年の経験が活かされた、小気味のいいショートショートに仕上がっていたんじゃないでしょうか。主人公以外の人間が皆怪しさ爆発なのがナイスですね~。ただ、肝心の改造された主人公の造形がもひとつでした。6点。第三話『マシット』。森の中に佇む古い教会。そこでは悪魔に取り憑かれた少女によって惨劇が繰り返されていた。修道女とともにそんな悪魔を撃退しようとする神父だったが。監督は唯一の日本人、北村龍平。同じ日本人として擁護したくもなりますが、どうにもこうにも出来の悪い作品でした。狙ってやってる悪ふざけ感が、どれもかなり寒いのが痛々しさマックス。4点。第四話『出口はこちら』。幼い二人の息子とともにカウンセリングへとやって来た若い母親。彼女は時間とともに周りの景色が醜く歪んでゆくという謎の幻覚に悩まされていたのだ。だが、予約していた精神科医はなかなかやってこない。そうしてる間にも周りはどんどんと汚れてゆく。監督はB級ホラーの俊英、デビッド・スレイド。全編白黒で撮られた映像がかなりセンスがあって凄く良かった!周りの景色がどんどんぐちょぐちょになってゆくのだけど、白黒と言うのがいい緩和剤になっててむしろスタイリッシュでさえありました。不穏なストーリーもぐいぐい惹き込ませる魅力が感じられて、短いながらも面白かった。7点。第五話『死』。暴漢に襲われ両親を殺された少年。自らも瀕死の重傷を負い、生死の淵を彷徨った彼は、目覚めてみると死者が見えるようになっていた。そこに両親を殺した殺人鬼が再び現れて。監督はミック・ギャリス。怖がらせ演出やお話はセオリー通りで好感が持てるものの、映像面がけっこうダサい。特に死の世界から呼びかける両親の映像は失笑レベル。5点。と、全体の平均点は5.6点なので、四捨五入してぎり6点ってとこですね。暇潰しで観る分にはまあいいんじゃないでしょうか。ちなみに、ストーリーテラーにあたる映写技師をミッキー・ロークが演じております。