1.《ネタバレ》 シンプルに言えば、これがチャーリー・カウフマンという作り手の作風、或いは芸風ということなのでしょうか。嫌いではありません。純粋に不条理劇であったり哲学的であったりする作品は好物です。ただ、本作はちょっとそうした好みとはすれ違う感じでした。
原作未読(現在取り寄せ中)、公式のあらすじだけを予備知識としての鑑賞でした。なので、序盤から中盤まで、ひとりの女性(名前は特定出来ず)の脳内劇(自己の客体視的な)なのかなと思い「これは好きなやつかも!」と見進めていたら、実は冒頭に登場していた老人(高校の用務員)がキーマンで、終盤にかけてその視点から一気に畳みかけて来るとは。
あらすじに気を取られて先入観を持ってしまった自分自身のせいではあるにせよ、まんまとミスリードの罠にかかった感がして暫し興覚め。そうなると、意味深で興味深く耳を傾けていた会話劇が、退屈かつ冗長で妙に空々しくさえ思えたりしてしまいました。
観終わってみれば独特の味わいがあり、登場人物の放つ言葉の一つひとつや一挙手一投足から目が離せず、余韻の中で反芻する楽しみもあり、少なくとも決して駄作呼ばわりは出来ない緻密で技巧的な作品なのかなと思えるものの、何か素直にストンと胸に響かない作品でした。ちょっと期待し過ぎたのかも。
原作を読んでみて何か感じるところがあれば、後日追記したいと思います。