1.父を待ち続けて生き抜いた少年、アレックスの姿がすばらしい。また、ストーリー的に随所に緊張感のあるシーンを含み、決して長くなりすぎずに1本筋を通してまとまった作品に仕上がっている。ただ、壁の隣の町へ実は行けるという設定や、そこでの少女との出会い、さらにはユダヤ人居住区内でもシャワーや食料のある所を見つけられるなど、随所に都合の良い状況が展開されて、その度に迫害の悲壮感や恐怖感などが希薄なものに感じられるようになってしまった。父親との再開もちょっと唐突すぎるのでは?あれだけ待ちつづけたのだから、再開に至るまでに伏線を張っていてもよかったんじゃないかなと思う。