2.《ネタバレ》 見たものは何も信じるな――。娘を目の前で誘拐され懸命な捜査にも関わらず未だ行方不明という事実に苦しむ刑事ローク。長年のカウンセリング治療の甲斐もあって、今回現場へと復帰することになった彼はさっそく強盗計画のタレコミがあった銀行へと向かう。久々にタッグを組む相棒とともに現場へと到着したロークだったが、何故か拭いきれない違和感を感じ始めるのだった。初めて訪れた現場なのに何度も来たかのような既視感、何者かに操られているような言動を繰り返す警官や行員、何もかもを知っているような目で自分を見つめてくる謎の男、そして貸金庫の中には何故か行方不明となった娘の写真が保管されていた。果たしてこれはどういうことなのか。情報をタレ込んだというタロット占い師とともに娘の行方を追う彼はやがて、巨大な陰謀へと巻き込まれてゆく……。エンタメ映画界を牽引するヒットメイカー、ロバート・ロドリゲス監督が新たに挑んだのは、そんな観るものを深いラビリンスへと誘うかのような挑戦的アクション作品でございました。初っ端から理屈も状況設定もどんどんすっ飛ばして文字通りノンストップで進んでゆく、彼の円熟味を増したストーリーテリングには素直に脱帽。何が本当で何が嘘なのか。考える隙も与えないまま躍動的に語られるストーリー、スタイリッシュで迫力満点のアクションシーン、やがて明かされる驚愕の真実にただただ圧倒されるばかり。まぁ内容的には『インセプション』以来散々つくられてきた、夢と現実が曖昧となる超現実世界のお話で新味はないのですが、演出のキレの良さに自分は普通に楽しんで観ることが出来ました。特に謎が明かされる中盤の展開は、予想の範囲内とは言え、やはりワクワクしちゃいますね。途中、『インセプション』とまったく同じシーンが出てきたときはさすがに笑っちゃいましたが。惜しいのは、肝心のことの真相が明らかとなるクライマックス。さすがに大風呂敷を広げ過ぎてうまく畳むことが出来てません。なんか分かったような分からないような感じで、いまいち納得感が得られなかったです。ここらへん、もう少し頑張ってほしかったかな。とはいえ、90分と尺も短いし、映像も迫力あったし、役者陣もみな華があったしで、僕はぼちぼち楽しめました。