1.この作品を観終えた時、想起したものといえば、ホウ・シャオシェンであり、テオ・アンゲロプロスだ。
素朴でポップなナンバーが頻繁に流れ、外見のイケてない若者が無邪気に自然の中を駆け回る。
そういった面で見ればホウ・シャオシェンの空気を感じる。
一方で、遠景のロングショットが多く、しかも尺も長く、叙事詩的な趣きがあるという面からいえばテオ・アンゲロプロスの作品にも似ているような気がする。
いずれにしても本作から受けた印象としては、もう一度観たらもっと味が出るだろうなぁ、ということだ。
ある村を舞台に繰り広げられる若者たちの群像劇。
そこには筋書きのない現実的な日々が映し出されているにすぎないが、かといって即興的演出でもって撮られたわけではなく、作為性も感じられる。
そういう意味で、ジャ・ジャンクー監督ならではの独自の感性が感じられる作品であった。