2.《ネタバレ》 この作品を語る上で外せないのはまず音楽だろうと思う。個人的に、借景した作品に敬意が感じられない菅野よう子は好きではない。
好きではないが、彼女のいくつかのオリジナル作品については、その稀有の感受性を認めざるをえない。
本作品の音楽は彼女の劇伴の中でも最高傑作に入るのではなかろうか。
なんとオケがイスラエル・フィルハーモニーだけあって珠玉の出来だ。未だにテレビでもバンバン使われ続けている。
元電気グルーヴのCMJKも曲を提供しているが、こちらもなんとダイジェストで挿入歌として使われるほどのクオリティに仕上がっている。
本作任における鬼品質菅野よう子楽曲群に埋もれないのは、さすがはCMJKである。
サントラ盤は菅野よう子ファンであれば買って損は無い。
さておき、個人的な映像の見どころは、今はなきトーヨーリンクスの3DCGである。
トーヨーリンクス独特の虹彩のようなグラデーションで描かれる造形は一見の価値ありだ。
このレベルのトーヨーリンクスのCGを他にも見たくて仕方なかったが、当時は、マクロスセブンのオープニングまで待たなければならなかった。
ストーリーのテーマは、はっきり言って他のマクロスシリーズと同じく「歌」で、良くも悪くもぶれてない。
本当の核心は、山月記の李徴よりも、もっともっと恥ずかしい虎の話なので、正直に生きてこなかった私には正視に耐えないものがある。
しかし、それこそが本作品の少年たちに向けられた愛なのだろう、と思っている。