2. 「あこがれ」は非常に短い作品ですが、恋する女性の躍動感や生命感が自転車に乗るシーンの疾走感にあふれ出ています。また、子供達の恋心からくる嫉妬の描写は「そんなこともあったなぁ」と懐かしく思い出させるような清新さを持っています。
そして最後の黒ずくめの女性が通る時の子供達の切なさというか気まずさというか、誰もが感じたことのある、一種の後ろめたさが伝わってきます。しかもそれは子供特有のものです。その空気を丸ごと移されたように観ている側も気まずくなります。正に「あこがれ」に含まれる全てを体現した映画だといえます。