3.《ネタバレ》 『ブリット』『フレンチ・コネクション』を製作したフィリップ・ダントーニの最初で最後の監督作で、ロイ・シャイダーがついにつかんだ劇場映画主演作です。トニー・ロー・ビアンコが顔出してるし音楽はドン・エリスだし、気分はもう『フレンチ・コネクション』です。とくに不協和音を強調したドン・エリスのサウンドは、何度聞いてもゾクゾクさせられます。ロイ・シャイダーの役柄は『フレンチ・コネクション』のバディ・ラッソ刑事が特捜班キャップに昇格したような感じ、しかも本作でもロイ・シャイダー扮する刑事の役名は“バディ”ですからねえ。シャイダーの幼なじみでマフィア業界とつながりのあるビアンコが、シャイダーから得た情報を悪用してマフィアの幹部たちを誘拐して身代金を荒稼ぎするというのが事件の概要です。けっきょくビアンコの手下の暴走で特捜班の仲間が巻き添えを喰って射殺されてしまうんですが、二人の関係を特捜班の仲間は最後まで知らないので、諸悪の根源は実はシャイダーだったということになります。彼の捜査手法は極めて強引だけどけっして腐敗警官の部類ではないのは確かですが、そこら辺をシレっとスルーする幕の閉じ方にはなんか後味の悪さが残ります。 カーチェイスはさすがに迫力があります。トレーラーに追突して荷台の下にめり込んでオープンカーになっちゃうというアクションは、たぶんこの映画が初だったと思います。