1.《ネタバレ》 吟遊詩人アシク・ケリブの物語だが、話の内容は率直に大したもんでもない。中東・アラブ風の映像表現も、正直言って『ざくろの色』や『スラム砦の伝説』とかで観たものとさほど変わりなく、この監督の後続作品として斬新さを備えているとまでは言えない(私が監督作を続けて鑑賞しているから気になってるだけかも知れんケド)。
むしろ、主人公が吟遊詩人だけあって全編で騒々しいまでにかき鳴らされ続けるアラビアンな音楽の洪水が、監督の他作品のようにやはり我々を何か別の映像世界に連れて行ってくれる様にも思う(よーく聴いてると何故かシューベルトの『アヴェ・マリア』のメロディが混ざってたりするんだけど)。なので別世界体験するための映画としては、ある程度「使える」クオリティかとも思う。