3.《ネタバレ》 ラストのトリックは実はほぼ同じものが別の作品にも使われているのだが、それを知らなければ痛快そのものである(ただその別作品はそれだけでは逮捕に至らないのだが)。にしても他の方の指摘にもあるが、よりによって、コロンボを捜査にあたらせるなんて、あまりと言えば余りにも犯人は間が抜けている。コロンボは署内でも「切れ者」として知られている存在であることはそれまでの作品で何度も紹介されているし、それを上司が知らないはずはない。ウィルソン刑事のような若輩者ですら「警部とまた一緒に仕事ができて光栄です」(魔術師の幻想)と尊敬の念を込めて言っているのだから。まぁいつどの時代でも「見えない人」というのはいるもので、さえない風体も手伝って犯人の中ではコロンボの評価はさほどではなかったのだとでも解釈しておこう。うるさく言ってきたら圧力かけて黙らせようととでも思っていたのだろう。まさに「権力の墓穴」とはコロンボを捜査に起用したことそれ自体だった。