1.《ネタバレ》 当時の普通の町並み、風景、生活を自然に感じられる歴史的価値満点の映画。しかし、映画としての構成力も素晴らしい。
画像、音ともに現代の映画と比べるには、あまりにも土俵が違いすぎるし、ストーリーも粗筋を書いてしまうと凡庸なのだが、風景を映し出す構図がしっかりしており、演出も日本人の琴線に触れる人情とか感情とかが自然に表現されて、しっかりストーリーに引きこまれてしまう。
画像や音がチープな分、画面構成、演出、編集の力量だけが問われるわけで、この時代にこれだけの映画が作れるのはすごい事だと思う。
成瀬巳喜男監督の作品を気を入れてしっかり見たのはこれが初めてだが、さすがに、日本映画史に名を残し多くの作品を撮り続けた監督の力量を感じる。