1.ウディ・アレンが好きなので、マルクス兄弟については名前を前からよく知っていたが、鑑賞するのは、本作が初めてとなった。
ファーストインプレッションは、度肝を抜かれたところもあり、正直凄いとは思った。
しかし、確かに凄いとは思うが、はっきりいって自分の感性には合わなかった。
グルーチョはナンセンスさにはついていけず、ハーポにはちょっとヒイた。
「チャップリン」や「キートン」のこともよくは知らないので、偉そうなことはいえないが、彼らの笑いは単純でストレートだと思う。
マルクス兄弟にも、単純でストレートな部分はあるが、それほど分かりやすい笑いではないと思う。一言でいえば“シュール”な笑いではないか。
古臭さを感じるというよりも、斬新さが目に付いた。
笑いというものをやや超越しているところもある。
多くのコメディアンに影響を与えたことは明白であるが、影響を受けた者はマルクス兄弟の笑いをもっと単純化したものであり、常人が理解できるレベルに落としている。
マルクス兄弟の笑いの真髄は、誰にも真似はできないかもしれない。
テレビのような大衆的な笑いというよりも、地下の小劇場でやるような独自の笑いの世界がある。
初見では少々評価を低くしてしまったが、あまりに毒性が強くて、体が受け付けなかっただけかもしれない。
彼らの笑いは特殊であり、単純というわけではないので、現代の人々の中ですんなりと受け入れることができる人はそれほど多くないような気がする。
しかし、何度も見ていけば中毒症状を起こしそうな深さや怖さは感じられるものだ。
ハマれれば、どっぷりとハマれそうだ。
ストーリーについては全く関心がなかったが、意外としっかりしているのも驚きだ。