1.終戦後に存在したブルガリアの強制収容所から逃げ出して一人でデンマークを目指す少年の冒険ロードムービー。
長らく過酷な労働と暴力にさらされ笑うことさえできない少年が何者なのか、脱出の経緯などはフラッシュバックで徐々に明らかにされるので緊張と興味が途切れない。さらに無事に旅を続けるために誰にも頼れず、人を信じることもできない孤独な少年がいろんな出会いや経験をしながら、学んだり危機を乗り越えていく展開がドラマチックで引き込まれる。収容所での悲しい出来事がトラウマとなり、なんとも寂しげで悲しい表情が印象的な主役の少年ベン・ティバーはとてもよかった。
ラストへの急転直下の展開があっけなかったり展開に甘さもあると思うものの、スイスの老婦人と信頼を結ぶくだり
など感動的で涙を誘われる。
老婦人のジョーン・プロウライトはとても品がよく存在感があったし、収容所の友人のジム・カヴィーゼルなど脇役の抑えた演技もよかった。ブルガリアからイタリア、スイスへと旅するロケ映像も美しい。