11.《ネタバレ》 オムニバス形式に近い構成のドラマですね。
4人のエピソードはそれぞれに独立していて、直接交じり合うことはありません。
ジーンズに添えられた手紙を通して、お互いの話を聞き、共感し、時には背中を押してあげます。ただそれだけ。
それは現実世界にはわりとよくある話。それに、4人のドラマが交錯することがない以上、シナリオとしての面白さはありません。
また、映画としてスケールが大きいわけでもありません。
はっきり言って、『なぜわざわざこんなものを映像化するの?』という内容です。
ですが、なぜか目が離せません。
こんな地味なエピソードの羅列に、ずっと興味をそそられっぱなしです。不思議なものです。
リアルを感じさせるストーリーというのは、ともすれば『退屈』と紙一重。本作は主人公一人一人が『よくあるプロット』の中、真剣に考え、悩み、行動し、それぞれの答えを探り当てていくので、そこに深い共感を覚えるのかもしれません。また、4人の友情は本物で、こそばゆくもあるのですが、見ていて気持ちが良いんです。
ティビーのエピソードは『病気で死ぬ少女』をだしに涙をさそうあざといものです。ですが少女と接するティビーの姿が非常に良くて、素直に感動します。
カルメンの『父親とその新しい家族』に対して思いをぶつけるエピソードも良い。『ドレスの試着でキレるシーン』『父親への電話シーン』など涙をさそうのですが、何といっても『石を窓にぶつけるシーン』、これが素晴らしい。自分を探しているのかと思ったら、自分のことなんかそっちのけで家族団らん楽しむファミリー。言葉ではなく映像で、カルメンの心の傷が手にとるようにわかってしまうのです。
ストーリーとして面白いのはこの二人でしょう。
リーナとブリジットのエピソードは第三者が見て面白いものとは言い難いです。
ですがリーナを演じるアレクシス・ブレデルが驚異的な可愛さ。ストーリーなんかどうでもよくなります。
ちょっと評価が難しいですが、主役の4人がそれぞれ良い個性を出しながら、その友情も見せてくれるので多分良作。
ただ映画として突出した部分がないのも確かなので、見る人によっては凡作かそれ以下になるのも致し方ないでしょう。