1.《ネタバレ》 旅映画としても、青春映画としても楽しい一品ですね。
国から国へと移動する際の演出も凝ってて飽きないし、観光地としての欧州の魅力を感じられる内容だったと思います。
ただし、この場合の「欧州の魅力」というのは、非常に漫画的というか……
あくまでも「アメリカの若者が思い描くような欧州」って事なので、注意が必要ですね。
さながら「忍者や芸者が一杯いる日本」のような、色々と強調された欧州の国々が描かれており、ちょっと不謹慎かも知れないけど、つい笑っちゃいます。
この辺りのバランス感覚が絶妙で、たとえば「5セントもあればホテルが買えちゃう国」なんかが登場するもんだから、観ている側としても「完全なフィクション、映画という名のファンタジー」として、割り切って楽しめちゃうんですよね。
巷に溢れる「頓珍漢な日本を描いた映画」の数々も、外国の方が観たらこんな感じなのかも……って思えたりして、不思議な可笑しさがありました。
旅先で遭遇したフーリガンすらも「なんだかんだで良い人達」だったりして、最後まで明るく陽気に仕上げてある点も良い。
「アメリカでは違法」「旅先では合法」というドラッグ入りケーキや、幻覚を見る酒に挑戦する姿が描かれているのも、程好いドキドキ感がありましたね。
「俺達は違う大学に進むんだから、四人でツルめるチャンスはコレが最後かも知れない」
という台詞が象徴するように「仲間と一緒の旅」が強調されており、途中で失敗してもあまり落ち込まずに「皆でいれば何とかなるさ」とばかりに、前向きな姿勢のまま旅を続けていくのも、凄く好みでした。
そんな本作の欠点は何かと考えてみると……
割と根本的な部分に関する事なんだけど「主人公のスコットに対する違和感」ってのが大きいでしょうか。
いくら泥酔してたとはいえ、結果的に「男に迫られたら怒って罵倒するけど、美女と知った途端に態度を変えて会いに行こうとする」って姿が描かれてる訳で、どうも彼の恋路を応援する気になれないんです。
その後になって「見た目じゃなくて、中身が好き」的な事を言われても、全然説得力が無かったし……
ここは変に良い子ぶって「彼女の中身が好きなんだ」なんてフォローを入れたりせず「男だと思ってたけど、本当は美女だった。美女だから好きになった」って流れにした方が、スッキリした気持ちで観れた気がします。
でもまぁ、そんなスコットも、お調子者な悪友のクーパーも、基本的には「良い奴」じゃないかと感じさせる作風でしたし……
彼らに恋人が出来るハッピーエンドには、こちらまで嬉しくなっちゃいましたね。
観終わった後は、主人公達と「旅の思い出」を共有したような気持ちになれる。
彼らと、仲間になれたような気持ちになる。
良い映画でした。