6.麻薬取引に関わる主人公が引退前に引き受けた最後の仕事が、面倒な展開となっていくのですが、正直、映画の語り口自体も面倒くさいというか、ゴチャゴチャしてて、観てても完全にはついていけないんですけどね・・・でもまあ、我々の日常世界も、こんなものかも知れませぬ。日々の仕事でも、自分の直近のことは何とか把握してるけれど、それ以上のことはよくわからなくって、でも全貌は把握しきれないながらも物事は何となく進んでいってしまう。そんな中で、自分は仕事を、しているのか、それともさせられているのか。
後の『キングスマン』が曲がりなりにも一人の青年のサクセスストーリーだったことを思うと、本作はまさに正反対。レイヤーケーキのごとき層構造をなすイギリスの階級社会、それは裏社会すらもが同様で、うまくたち回ろうとする主人公ではあるけれど、その縛りからはなかなか抜け出せない。
例えば、ライフルでターゲットを狙っているつもりが、実は逆に狙われていて、身動きがとれなくなってしまう。どこから誰が自分を狙っているのか、こちらからは決して見えないまま。
ブルーレイのオマケに別エンディングが2種類入ってて、計3通りのエンディング。程度の差はあれ、そのどれをとっても、結局は階層構造からは抜け出せていないんですよね、たぶん。