2.《ネタバレ》 シリーズ掉尾を飾るということもあって、何となく出演者が豪華な気がする第9作(いや、いつもこんなもんか)。
高倉&池部コンビに加え、鶴田浩二がいる、安藤昇がいる、北島サブちゃんまでいる。山本麟一はふてぶてしくもしっかりニラミを利かせ、待田京介に至っては、死んで初めて「ああ、そういやあなたもいたのね」と気づくぐらい。そう、これぞ一話完結の強み、豪華出演陣が気持ちよいほどにジャンジャン死んでいって、静かに積もり積もった怒りと恨みが、ラストの殴り込みに繋がっていく。ほぼ様式美、ですね。
北島サブちゃんの熱演にご注目。テキトーながらも一本気な若者を、鼻の穴も目一杯広げて演じ切っています。セリフ棒読みの新人・檀ふみも少しは見習って欲しい。いや、これはこれでいいんですけど。とにかく、熱演のサブちゃんですが、冒頭出てきたきり、しばらく出てこない間にも、映画は色々と出会いを描き、色々と事件が起こるもんで、ようやく再登場する頃には、そういやあなたもいたっけね、と。そんなのばっかしですが、要はそのくらい、盛り沢山。
そんな中で光るのが、星由里子。と言っても、慌ただしい物語の中、最終的にはこのヒトも唐突に死んでしまいますが、ともかく、二役での登場が、印象的。別にそういう設定にしなくともオハナシは成立するんですが、「かつての恋人によく似た女郎」とのやりとりが、健さんのハニカミ演技で絶妙の味わいを出し、星由里子もこの設定に見事に応えています。檀ふみもちょっとは見習って欲しい。いやあれはあれでいいんだっけ。
今回の物語は、池部良側の組が真っ当で、高倉健側の組が、ちと問題アリ、という設定。作品ごとに微妙な差はあれど、やっぱりマンネリの良さ、というヤツでしょうか。あるいは、同じものの中にある微妙な差を楽しむ。そういや、「名曲をいろいろな演奏家の演奏で聴いてみたい」という気持ちには、演奏ごとに異なる表情を見せる音楽の、その差を聴きたい、というのもあるし、単に、お馴染みの曲をまた聴くにあたって「いやこれは別の演奏だから」と自分への言い訳が欲しい、ってのも実はあったりして、それに近い感覚かも・・・。
雪の降る中、死地へ赴く二人の姿。もはや生きては戻らぬ、という決意が静かに漲る橋の上のシーンが、カッコいい。