1.《ネタバレ》 物心のついた頃から自然と広島、長崎で起こったことを理解していた思う。それは低学年の頃から学校やテレビで教えられてきたから。黙祷もいっぱいしたし、8月6日は登校日だったりもした。そして小学校の修学旅行では原爆ドームや資料館へもいった。僕は資料班だったので、図書室の「昭和史」などの文献を写したりもしたことがある。所々すりきれた分厚く大きな本を1ページづつめくって見たあの写真の重苦しさは今でも忘れられない。それからも様々な媒体から蓄積された知識をもとに本作を鑑賞したわけだが、本作はこれまでの膨大な資料の総集編といった趣きがする。ドキュメンタリーではあるが、これまでの資料をかいつまんで映画的に上手に仕上げたという感じがした。そういえば本作の公開当時、ある番組でニュースキャスターが日本ではこういった作品は作れないのか、アメリカ人に作られてどうすると言って嘆いていたが、その足元の自社HPでは「夕凪の街、桜の国」の特集が組まれていたことが思い出される。これまで多くの人があらゆる媒体を使い残してきた資料の山の中にあって、僕はこの作品が特別だとは思わない。でも原爆を再認識するにはいい作品だとも思う。冒頭のなんの違和感もなくアメリカナイズされた現在の日本。そして少女がこの日を知らないという。たとえ日本人が忘れてもアメリカだけには忘れてほしくない。