《改行表示》41.《ネタバレ》 ◇たまたまテレビをつけていたら始まって、最初は「ああ、あの映画か、、」と流し見していたところ、どんどん引き込まれました。現在と変わらないのは「何のために仕事をするのか」家族のため、子供のため、生活のため。もともとやりたいこと(目的)があっても、それができる立場になる(手段)ころには、自分の立場(手段)が目的になってしまったりする。(踊る大捜査線でも、和久さんが青島に「正しいことをやりたければえらくなれ」と言ってましたね) ◇主人公は病気をきっかけに、自分のできることを精一杯全うしようとする。最後の葬式のシーンを見ても、特にそれがスムーズに進んだわけではなさそう。でも。 ◇社会的に認められたかどうかが重要なのではなく、自身が何に幸福を感じるか、を考えさせる作品でした。 【ハクリキコ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2024-09-01 16:19:41) (良:1票) |
40.現代では風俗こそすっかり様変わりしてしまいましたが、根本的な人間の姿はほとんど古びていないのには驚きました。無意味で空虚な仕事がもたらす精神の荒廃、お役所仕事の弊害(序盤はシン・ゴジラにもそっくり)、肉親の間ですらどこかよそよそしさが付きまとう人間関係、うちの中もおもてもおんなじ寒さという日本の住宅事情への愚痴まで現代と変わらない(笑)。日本社会の本質がこの時代から大して変化していないというだけかもしれませんが、これは人間への真摯な観察の賜物でしょう。しかし細部の描写はいいのですが演出や脚本がそれほどうまいとは思えません。志村喬が病院待合室で診察を受ける前の会話では他の患者が胃がんなのに胃潰瘍と言われたと語られ、後の場面で医者に同じことを言われるんだろうなと簡単に推測できてしまいます。酒場での小説家との会話では胃がんが人生に対する目を開かせたなんて作品のプロットを全部台詞で説明しちゃってます。小田切みきとの交流は今見るとパパ活みたいで真面目に見るべきなのか笑えばいいのか…。有名なハッピーバースデーのシーンも分かり易すぎていかにも演出の作為が見えてしまいます。葬式のシーン以降はやっぱり長すぎますし、社会批判というよりは主人公をひたすら賞賛しているだけのように見えてしまいます。本来は社会風刺喜劇になるべきところにヒューマニズムドラマまでつぎ込んでいるのでどうにもバランスが悪いです。しかしバランスが悪かろうと語り方が下手だろうと伝えたいテーマを何としてでも伝えようとする姿勢は立派だと思います。「わしは人を憎んでなんかいられない、わしにはそんな暇はない」こういう心を揺さぶる台詞が出てくるのはやはり小手先の技術ではないと思います。ダメなところもたくさんあるとは思いますが、黒澤明はやっぱり偉大な監督です。 |
39.《ネタバレ》 伊藤雄之助がまるでメフィストのように、この世の快楽地獄を連れ回すシーンが好き。そして、ファーストシーン。いきなり胃カメラからの独白。ただ、志村が、少し熱演過ぎてくどい。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2018-12-27 18:57:15) |
《改行表示》38.《ネタバレ》 30年役場で惰性のみで仕事をしてきた課長が余命半年を告げられ、これではいけないと突然市民のために生きる事に目覚めて実現困難な公園新設を死ぬまでにやり遂げた映画・・と考えると多分誤りで、平和な現在を基準に考えるとわざわざ映画にするような題材に思えません。 映画にも一部描かれますがこれが作られた昭和27年と言えば、主人公の年代の人は戦前の二・二六事件などの緊張した時代から戦争で肉親が出征、戦死したり、はたまた空襲で街が焼け野原になり、近隣の人が死に、戦後は食糧難と復興で観客も含めて皆「生き延びる」だけでも大変であった時代と思います。主人公も無表情のまま「とにかく忙しくて・・」とその人生を語っていますが、時代に流されるまま「生き延びる」ことにはその場その場で「必死に対応して生きて来た」と言う事だったのではないかと思います。そうして必死に生き延びた人生が「後半年」と宣告された時に、「何か」が芽生えて、生き延びるために生きるだけではない「何か」を若い小田切君に魅入られるように模索した結果が「公園建設」だったのだろうと思います。 「何か」が見つかった後はいきなり葬式の場面になって、公園建設に奔走する様は関係者の回想で断片的に語られるだけなのですが、建設のストーリーは問題ではなくて「精神」だけ描きたかったのだと思います。その「精神」も市民のため云々という奇麗事ではなくて、生き延びるためだけではない「生きる」の「何か」がこんなであった、というのが主眼で「夕焼け」と「雪中のブランコ」のシーンにその精神が集約されたのかも知れません。「何か」は見る人それぞれ何でも良くて、当時の状況からは「革新的な思想」や「新興宗教」はたまた一攫千金を夢見た「起業」かもしれませんが、作者はその何かを模索して欲しいと思ったのでしょう。とても良い映画ですが、現在から見るといろいろ考えないと解り難いという事ではこの点で。 【rakitarou】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-01-09 14:29:22) |
《改行表示》37.《ネタバレ》 学生時代に一度見たが、その時はなるほどこれが名画というものかと思った程度だった。 今回見ると、まずハッピーバースデーまでがとにかく長く、その間主人公がジタバタするのが非常に見苦しい。自業自得だろうと突き放したくなる一方、息子のためにこうしてきたというならそれでいいだろうがとも思う。生きる意味などそれぞれ気の持ちようなのでどうにでも納得できるはずで、特にこの時代なら、とりあえずここまで生き延びて子孫が残るだけでもいいではないかと思うが、それをあえて否定して、個人の生きる意味を求めたのがこの映画ということなのか。しかし現代ではその個人の部分だけが重視される一方で少子化が進んでいくのは皮肉ともいえる。 その後の通夜の場面では、一転して他者の視点から主人公の行動を明らかにし、印象操作や誤解を排した全体像を皆が共有していくのが面白い。警官の述懐は、いわゆる最後のピースがはまったようにすっきり感じられた。 またこの部分で語られる役所の組織体質は興味深い(笑う)。何もしない決まりがあるというよりは、行動様式として目の前に来た案件を捌くのが基本だから主体的に動く発想がないのだろうし、そういうのは江戸時代のままではないかという気もするが、わずかな体面のために自分の領分への干渉を許さないとか、執拗な相対化で個人の功績を薄めようとするなどは小役人というより日本人の気質ではないのか。記者の言う「プロモーター」はいかにも新しい言葉に聞こえたが、当時などほとんど理解されていなかったのではと想像する。 そこで何かしようとした場合、主人公に関してはたまたま本当に役に立つ仕事がその辺に転がっていたからよかったが、動機が不純だと自己満足だけで愚にもつかないことをやらかす恐れもある。そもそも自分のために仕事をするなど公僕のやることかと言いたいところだが、ただし工事現場で倒れた主人公を、周辺住民が寄ってたかって助けた場面は少し泣けるものがあった。要は実のある仕事かどうかかが真の問題であって、それが同時に当人の生きた意味にもつながりうることは示されていたように思う。今さら他人に言われる筋合いはないと反発を覚えながらも、人生悔いのないようにという思いは否応なしに残る映画だった。 ちなみに劇中の小田切とよは、近場に本当にこういう人物がいるので妙に親近感を覚えた。どうでもいいことだが。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-04-05 20:36:14) |
36.《ネタバレ》 自分は黒澤の大ファンであるが、この作品は世間が評価するほどいい映画と思わない。テーマであるヒューマニズムが観念的で、シナリオも瑕疵が多いように思う。たとえば主人公の生き方の転機となった役所の部下の若い女の子はいかにもストーリーの都合上作り出した登場人物……なのはいいが、未消化のまま動かされてるという印象を持った。あんなに楽しそうに主人公と遊びながら後日はつっけんどんな態度に豹変する。そんな態度の中での自分のオモチャ工場の仕事について「日本中の赤ちゃんと友達になった気がする」という台詞は、やや不自然であった。凝った構成として評価されている後半の葬式からの回想シーンも、主人公が公園建設に立ち回るという具体的展開を見せるのが難しいと考えたので(実際主人公は他の部署に頭を下げ回っているだけである)、断片、抽象的で済む回想シーンに切り替えたという印象を持った。どちらにせよこの回想シーンへの突然のスイッチは「生きる」から役所、及び惰性人間への批判へとズレた感があり、今までの積み上げをもったいなくしている。またその葬式のシーンで、ただひとり主人公の行動を真摯に受け止める青年がいるが、彼はラストシーンで視点役にもなっているのだから、もっと前から出すべきではなかったか、あるいは出さないでよかったのではないかと思えた。唐突な人物が最後に視点者になることで、主人公の時間を共有していたはずの鑑賞者から主人公の余韻が拭い去られてはいやしないか。全体的に、死ぬことを知った人間が今までのダメ人間から生きがいに生きる人間になるというヒューマニズム……というよりアイデアが先行している堅苦しさを感じた。 【シン】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-05-25 01:31:59) |
35.い~のぉちぃ~みぃじ~かしぃ~、こぉい~せよぉおとめぇ~~~♪ キーコキーコキー...... 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-06 20:35:45) |
34.元ネタはゲーテの『ファウスト』なんだろうけど、日本を舞台にした現代劇として、確かにうまくアレンジされている・・・しかし「うまくアレンジ」と言いつつも、何か釈然としないものが。いや、私が『ファウスト』を深く理解しているとか、真髄をつかめているとか言う気はさらさら無いんだけど、少なくとも「多分、この方向に、これより“上”は無いんだろう」という感触(あるいは、畏れ)くらいは持っている訳で。これを“換骨奪胎”という言い方で納得してばかりもいられない。多分、本作の「作りこみ過ぎ」あるいは「語り過ぎ」の面に、引っかかるものがあるのだろうか。この映画の、ウマさとクドさ。確かによく出来ていると大いに感心させられはするのだけど、そして目を引く印象的なシーンも多いのだけど、全体を通したときに、一番印象に残ってしまうのは、“作為”に他ならない。「必要性」と「十分性」のバランスが、前者に傾いてしまったときの、危うさ。そしてもうひとつ。これらの事と、本作のテーマの重さとの間の不釣り合いが、気になってしまうのだ。私もそこそこ歳くってきて、それなりに人の生死にも関わる機会があり、それも思わぬ形で関わってしまうものなのです、これがホントに。だから、だから。いややっぱり、この映画は、とても良くできた映画、ということで、いいのかもしれない。ただ、私は『生きる』ではなく『死ぬ』として、この映画を観てしまう。いっそ、中盤の歓楽シーンが延々と続いた揚句、何の前触れもなく主人公が死んでしまう、そんな映画を観たいのかも、知れない。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-09 12:16:23) (良:2票) |
33.《ネタバレ》 至極真面目な映画だという先入観のもとに鑑賞したので、ブラック・ユーモアの多さに驚かされた。通夜のシーンを先に持ってくるという構成は、メリハリが利いていて成功してるように思えました。公園のシーンをはじめとして、志村喬の演技の凄いこと凄いこと…。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-02-11 21:49:17) (良:1票) |
32.《ネタバレ》 通夜の最後のところでどっと感動させられました。 【ファンオブ吹石】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-12-28 16:46:58) |
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《改行表示》31.映画に感動して次の日すっかり忘れているあの感覚と似てる(笑)。 会社に入ってまだ新人な私は、なかなか仕事で役に立てずに悩んでいた時期にこれを見ました。主人公と境遇は全く違いますが、なんだか共感できました。余命半年でなかったとしても、誰にでもあてはまる物語だと思う。 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-07-13 05:43:56) |
30.恥ずかしながら、黒澤映画を観たのはこれが初めてです。主人公の渡辺の功績については葬式での回顧シーンで延々と綴られるだけだったため、この渡辺に感情移入できませんでした。世間では評価の高い作品であるため期待しすぎて観てしまった分、「まあこんなもんか」という感想です。 |
29.ニンゲンの本質を見せてもらった。見るのは疲れるけど、名作です。 【フッと猿死体】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-11-23 09:28:36) |
《改行表示》28.《ネタバレ》 構成が上手なのでうまい具合に感動させられる。 最後の役所のシーンは、人間の普遍的な性質を感じさせられた。 思ったより志村喬の演技が鼻についたし、一念発起して公園を作る覚悟を決めたきっかけが弱かった。 【寺 梅斗】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-01-14 12:33:13) |
27.《ネタバレ》 主人公が亡くなった後、葬式で職場の人がみんなで頑張ろうと、その場では盛り上がるが、職場に戻ったら元の木阿弥というのがとっても悲しい映画でした。 【腰痛パッチン】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2006-12-26 11:07:35) |
26.とても良かった。”生きる”ことの意味や、今を大切にすることを考えさせられた。こういうことは他の映画やいろんなことでも考えるけど、また新たなものを考えました。ただ、主人公の声がよく聞き取れない(主人公の性格とはいえ、ブツブツと…)とか、葬式のシーンで少し飽きてしまったとかがあるので、満点まではいかないです 【ラスウェル】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-10-25 23:32:25) |
25.人は生きてる間は、自分の死や生に対して結構無頓着な生き物なんだなぁと思いました。 【あしたかこ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-07-31 03:31:22) |
24.突然通夜のシーンに切り替わる後半部分が、ちょっと役人批判の色が強過ぎてちょっとついていけなかった。渡辺課長を見習って生まれ変わろうと決意した部下たちの顛末は、皮肉が利いててよかったです。それにしても本作の志村喬には狂気すら感じますね。怖い。 【とかげ12号】さん [ビデオ(吹替)] 7点(2005-11-20 17:54:49) |
23.ストレートに表現するテーマと力強いメッセージが製作側の主張を感じさせるが、脚本の三人は市役所で何か嫌な思いでもしたのだろうか。通夜の席で主人公に対する賛美の意識が徐々に高まり、渡辺さんにわれらも続こうと同意するも翌日には旧態依然の仕事を繰り返す現実に普通に人間の弱さを見るし、公務員の仕事振りに批判的な表現が必要以上に濃すぎて、一人の人間の生きる意味を問うこれまた大きな主題が次第に霞んでいってしまうのは残念至極だ。志村喬の演技は他作品では見ることの出来ないほど鬼気迫るものを感じるが、繰り返されるギョロ目アップとぼそぼそと聞き取りにくい小さな声には少々不満が残る。人は生きた証を如何に残すかのテーマは思う所ありだが、他の黒澤映画と比較して完璧な出来とは言い辛い。 【WEB職人】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-23 22:39:48) |
22.《ネタバレ》 黒澤映画にのめりこんでいた高校生の頃に見た。見る前はもうちょっとあとになってからでもいいのではないかと思っていたが、それなりに感動できるいい映画だと思う。物語途中で主人公が死んでしまい、後半は通夜に集まった人たちの回想シーンで進む構成はちょっと新鮮に感じた。主人公が公園のブランコに乗って「ゴンドラの唄」を歌っているシーンはやっぱりいいシーンだ。ただ、やはり見るには若すぎたのかところどころ退屈に感じるシーンもあったのがちょっと残念。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2005-05-29 15:01:21) |