1.私はリアルタイムで「カムイ伝」「カムイ外伝」を貪るように読んでいました。この映画を見ての感想は、よくぞ映画化してくれた、という素直な喜びでした。ひと昔前の実写映画は糸で吊っていたり、それと判る合成だったりして、映像表現にがっかりしたものです。もちろん今の技術も所詮作り物と判るのですが、でも私にとっては十分なレベルの満足感がありました。白土三平の描く無慈悲に満ちたリアリズムが欠けてはいますが、松山ケンイチという得難い俳優を配したことで、私は楽しく鑑賞できました。これを機に、白土三平の作品群が映画やテレビにどんどん取り上げられてくれれば、と切に願います。