《改行表示》16.《ネタバレ》 『放火犯は春』。なぜかそのオチだけ知っている状態での鑑賞。そのオチをどこで知ってしまったのかは思い出せない。ですが、オチを知っていたとしても、なかなかどうして面白い。面白いと感じるのは、春が放火犯であろうが、そうでなかろうが、そこは重要ではなかったからかもしれません。 その春を演じた岡田将生。今までこの人の演技を良いと思ったことがなかったのですが、これは良かったです。役が岡田将生にぴったりです。 時系列バラバラ系の作品は得意ではありませんが、今作は過去と現在を同時進行で進めていくだけのすっきり展開。母の身に何が起ったのか。春はどのようにして生を授かったのか。それがわかる過去のシーンは重要でした。 過去では被害者。現在では加害者。レイプ、事故死(自殺?)、ガン、放火。奥野一家が背負った運命はあまりにも重く、悲しい。にも関わらず、この映画では奥野家がどれほど素晴らしい家族でどれほど幸せだったかを見せつけてきます。兄弟仲が悪い私にとって、その兄弟の絆、家族の絆は確かに輝いて見えたのです。 『楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえるんだ。』 幸せであろうとするから、何が起きても幸せなんでしょうね。 春がジンジャーエールを注文するのを絶望的な表情で見つめる兄。・・・だけど春にはもうひとつのクセが。春はウソをつくとき唇を触る。自分と同じクセを持つ春を、嬉しそうに見る正志。実の父の血が流れているという過酷な現実がある一方で、育ての親のクセがうつるという救いも描く。この何とも言えない絶妙なバランス感覚が好きです。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2020-05-24 01:23:00) (良:1票) |
15.《ネタバレ》 弟が放火犯であることはかなり早い段階から予知できるものの、それが強姦魔の犯罪現場の浄化であることまでは読みとけなかった。春を産もうと決意した父、母。そして、二段ベッドでの兄弟の「ファンタグレープ」の会話から見える兄の優しさが印象的。父親の『お前は俺に似て嘘が下手だな』のシーンで、うるっときた。 【カジノ愛】さん [インターネット(邦画)] 7点(2017-01-21 03:08:06) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 重力をときはなち、一家の幸せを願う母、弟を守りたい長男、兄に気づいてもらいたい次男、息子たちを見抜いている父。皆さんのおっしゃるように突っ込みどころ満載だったが、この深い家族愛が貫かれている以上、何もいうまい。 レイプされて生まれた子供たちは、世界中に星の数ほどいる。彼らが人に愛され、愛することができる人間に、どうか成長してほしい。そう願わずにいられなかった作品。 【tony】さん [インターネット(字幕)] 7点(2016-02-28 00:46:27) |
《改行表示》13.《ネタバレ》 「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ。」春のこのセリフをそのままこの映画に送るべきというか。伊坂作品ってユーモアのオブラートで包まれてはいるものの、実は内容自体は結構エグくって、またそこんトコが妙味なワケなんですが、本作は何故か“伊坂節”をあえて封印したかのような雰囲気。ちょっと“普通のハードなサスペンス映画”になっちゃったなぁ~、と俺はその辺り物足りなく感じました。 それと、原作を読んだ時の実父のイメージは“嫌な感じの色男”(ホメてます)北村一輝だったので、渡部さんはちょっと上品だったなぁ~(苦笑)。とは言え…“夏子さん”を怪演した吉高さんをはじめ、主演の岡田&加瀬兄弟と、ヅラは大笑いだったけど小日向さん鈴木京香さんの好演もあって点数は甘めで…。それと夜中の二段ベッドでの「ファンタグレープ!」のシーン…思わず泣かされちゃいました…。あの子役二人も良かったですね。 (追記)原作と違って最後の事件現場は昔住んでいた家。あれならいくらなんでも警察も気付くわ!というコトは…原作と違ってやはり春は捕まって司法の裁きを受ける…というのが映画版の解釈だと思います。だからこそビジネスホテルの鬼軍曹フロントは、映画には出てこなかったンんだと思います。俺は原作では春が軍曹にシメられるコトで“罪と罰”は終わりだと思っていますから…。 【幻覚@蛇プニョ】さん [地上波(邦画)] 7点(2013-02-19 10:31:21) |
12.伊坂作品は好きだけれど、この原作はあまりしっくりこなかった。遺伝子うんぬんとレイプの問題、それと放火のミステリーを絡めるのはすこし強引な感じがしたからだ。けれど映画を見てすこし印象が変わったのは、小日向さんの演技によるものが大きい気がします。「自分で、考えろ」そして見たい世界のために自分が行動する、といういわば革命家的な伊坂作品のメッセージを、静かでやさしい父親が体現しているからかもしれません。あと完全に「元・ブス」を演じた吉高ちゃんは凄い。 【ETNA】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-11-12 13:04:37) |
11.重いテーマですが不思議と軽い。兄弟がとても良かった。なんだか妻を、わが子を大切にしたいと思えた。そんな映画。 【ライトニングボルト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-05-18 04:44:46) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 自分で描いたイタズラ書き(自分ではアートと言ってるが)を自分で消す?それをわかっていながら謎解き「ごっこ」をする? もうすでに春の人格は崩壊していたのかもしれません レイプ犯である実の父親の住所を把握し(どうやって調べたのか)既に会い 忌まわしい過去の記事を壁のポスターの裏に隠し しかしよくよく考えれば イタズラ書きと放火 DNAのヒント もしかしたら春は自分を励ましかばってくれた 地味な(どちらかといえばパッとしない)大学院でDNA研究をしている(と思われる)兄に助けて欲しかったのか? そんな兄だがいろいろ計画するも結局なにもできず 実際に行動する弟 そこにはなにかしらの遺伝があるのか 最終的に春は本当の父親を殴り殺す それも自分を愛してくれた育ての父親からもらったバットで(印象的にカメラはそれを写す) 家族4人でサーカスに行って見たピエロ 楽しいことがあれば重力なんて無くなる でもそうならない自分への葛藤 最初と最後の2階から飛び降りるシーンがそれを物語る なんとも 苦しく深く悲しい そんな印象でゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-02-16 09:42:17) |
9.《ネタバレ》 最後 殺人後のあたかも「怪人を倒した後の仮面ライダー」のようなほのぼの感が気に入りました。 【紫電】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-14 21:44:14) |
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8.《ネタバレ》 ふむふむ、なるほどね。原作は未読だけど、同じ伊坂幸太郎原作の映画「アヒルと鴨・・・」同様、よく練られていると思った。春のこれまでの人生を考えると、どれだけ思い悩んだかしれない。偉人の言葉に詳しいのはそれらに救いを求めた時期があるから。火によって浄化するというのは、宗教にも手を伸ばした事を感じさせる。子供の頃から「なぜ父親に似ていない?」「なぜ自分だけ絵が上手い?」「レイプって何だ?」と引っかかっていて、真実を知った後は自分の存在そのものについて悩み続けた。絵に描いたようなイケメンだけど、たまに心の闇を感じさせる表情を見せる春。加瀬亮、小日向文世の安定感もさることながら、岡田将生がとても光った一本。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-06 19:05:50) (良:1票) |
《改行表示》7.《ネタバレ》 ほぼ原作のイメージ通りに仕上がっていたと思います。 「遺伝か環境か」重いテーマ。 両親の死も過剰なストレスの結果ともいえるかも。人のいい父も臓ふは怒りで煮えたぎっていたかもしれないし、母も一人になれば重圧に押しつぶされそうになっていたかも知れず。一番かわいそうなのは、春。家族にとって許しがたい敵は自分の実父だなんてねえ。アイツが心から反省していたらまだしも。あれじゃあ春自身が始末をつける気もわからなくはない。この一家は事件後遠くへ立ち去るべきだった・・の前にやはり春は生まれてこなかったほうが良かったと思う。自分が春なら絶対いやです。でもそうするとこの原作は生まれなかったけど。 ギリギリ環境のほうが勝ちだったと思いました。 【木村家の娘】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-07-19 00:18:23) |
6.《ネタバレ》 夏子さんがずっとストーカーしてたわりには過去の事件やいろいろわかってないところがあった。でもまぁ伏線の使い方とかは割とうまいかな。 【とま】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-03 18:46:59) |
《改行表示》5.原作を読んだうえで鑑賞したのですが、俳優陣の演技に引き込まれ、終わりを知っているにもかかわらず、思いのほか楽しむ事が出来ました。 特に渡部篤郎の演技が素晴らしかったと思います。 原作を読み、心配だったのは、春の台詞が哲学者の引用が多いので、文字として読む分には問題ないのですが、これを実際口に出して喋るとなると相当クサくなってしまうのでは・・ということ。春役の岡田くんはハマっていたと思いますが、やはりその点だけはどうも安っぽくなっちゃいましたね。 端折るところは巧く端折って、映画として、心地よいリズムが感じられました。 設定も色々と変えてあって、だからこそ原作既読の自分も楽しめたのだし、「映画化」した意味は充分にあったと思います。 原作、伊坂幸太郎の独特の浮遊感を感じられる文体と違い、映画版の雰囲気は重めなので、別ものとして2つとも楽しむ価値はあります。 減点要素を挙げるとすれば、夏子さんの中途半端な使い方が凄く気になりました。原作ではもっと活躍してくれます。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-06-07 08:18:41) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 原作未読。先日観たゴールデンスランバーよりは登場人物の心情が深く描かれているので断然よかった。レイプの被害に遭って人生を大きく狂わされた家族という重いテーマながら暗くなりすぎず上手くバランスよく仕上がっている。が、肝心な放火犯捜しがそれまで台詞の全くなかった元ストーカー夏子さんの一言で解決してしまってやや拍子抜け。それから殺人という重い罪を犯したのならやはり法の下で裁かれるべき。レイプ犯がたった5、6年で世の中に出てきたことで司法への不信感もあるのかもしれないが、そこだけはどうしても納得いかなかった。地元民なのでロケ地は見覚えのある風景がたくさん出てくるのでそれも楽しめた。クライマックスで流れるピアノもGOOD。あちこちに散らばる伏線を終盤に向けて一気に回収されていく様はあいかわらず見事です。すべてのファクターに意味がある。「楽しそうに生きていれば地球の重力なんか消してしまえるんだ」という台詞が心に残った。そういや最近、小日向氏は他の映画かドラマでも同じようなヘアースタイルのヅラかぶってたなぁ。 【時計仕掛けの俺んち】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-04-30 02:45:12) (良:1票) |
《改行表示》3.《ネタバレ》 兄弟顔とは思えないイケメンで同級生からモテモテの春。性的暴行が嫌いで女性に興味を持たない理由も徐々にわかってくるあたりが上手い。 どことなく中世的で、その個性的な役柄を演じた若手俳優として岡田は適役だったと思います。吉高由里子がすごく微妙でダサい役だったけど物語の真相をいち早く握っていた重要人物なのには笑えた。 自分の過去のすべてを浄化するために放火を繰り返した犯罪に、最強の家族愛とかで美化し片付けてしまうのは賛同はできないが、タイトルの意味合いはまさにインセンティブだと思う。 【シネマブルク】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-03-07 12:19:34) |
2.《ネタバレ》 伊坂幸太郎の小説の中で個人的にもっとも好きな作品の映画化だったため少し期待が大きすぎたかもしれない。とはいっても詳細をあまりはっきりは覚えていないのであるが、確か兄である泉水の意図というのが終盤になるまでわからずそこが小説としてはどんでんがえしであったはずだが、この映画ではそちらのほうが先に来てしまっていた。小説の若干回りくどい表現の中に巧みに隠されていた意図であったので、小説のその文体をなくしてしまった映画ではそこまで再現できなかったのが残念である。映画の印象としては小説に比べてすっきりしてしまった感じがあって、小説の回りくどいところが好きだった自分にはやや物足りなく感じられた。 【HK】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-11-16 20:36:05) |
《改行表示》1.《ネタバレ》 (ハートウォーミング+ミステリー)÷2な作品。 犯罪癖は環境ではなく遺伝により生ずるという展開かと思ったらそういうことでもないみたい。 中盤までは見やすくてよい。ピアノ主体のBGMは非常あっている。 キャスティングは少ない人数でもGood。 終盤は納得いかないというか理解できない。放火の動機よくわからない。復讐することは許されるという方向だとしても、放火は許されない。 兄弟、家族がこのまま平和に暮らしていけるわけがない。 見せ方やキャストは大衆的だけど、内容は観客を置きざりに。そんな感じだと思う。 タイトルはなぜこれなんだろう。 【Yu】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-11-15 15:07:13) |