10.《ネタバレ》 タイ映画でジャッキーばりの本格アクションが見られるとは。
考えてみればムエタイの本場なのだからおかしくはない。
なんといっても主演の少女が逸材で素晴らしい。
といっても、撮影当時23、4歳というからビックリ。
十分中高生で通用するほど幼く見える。
テコンドーの選手だったらしいが、何年も前からこの映画のために受けていたという訓練にふさわしい仕上がりで、一流アスリートのキレと輝きがある。
シリアスな緊張感ばかりではなく、ちょっとズッコケ気味なシーンも。
少女がブルース・リーの真似を始めたときは、コントのようでどうなることかと心配に。
ハエだらけの肉処理場は、笑えるけれど確実に食欲をなくす。
マフィアの手下がニューハーフだらけというのもタイっぽい。
阿部寛の決めのナレーションは、臭すぎるし取ってつけた感もあって思わず失笑。
全般的に阿部寛がかなり浮いて見える。
エンドロールの前にメイキング映像があったが、これが撮影現場の凄まじさを物語る。
アクションシーンで何度も当たっていたり、落下で打ちどころが悪かったりとケガ人が続出。
やられ役も含めて相当危険だったことがわかる。
それだけ真に迫っており、日本の女優の付け焼刃のようなアクションなどお遊戯に見えてくる。
NHK制作のドキュメンタリー「闘え!ジージャー」で特集されていたが、あどけない笑顔からは想像できない格闘技選手のような修練と、いつも救急車が待機するような危険と隣り合わせの現場が印象に残った。
自ら何度もダメ出しをして、納得がいくまでストイックに完全形を求める姿は、まさにアスリートそのもの。