11.《ネタバレ》 一番期待してた映像美については俺様ちゃん的にはそこまで凄さを感じなかった。
映像の綺麗さはあるけど、どこか対象物やオブジェのスケール感が合ってない感じがして俺的にはピンと来なかったンだわ。
色彩や解像度が良くても「場」としての有り得る光景というか「臨場感」がないとやはり印象に残る風景になりえないなーと思った。
アレだったら「コンタクト」のほうがよほど風景としては印象深い。
…一方、期待してなかったストーリーというかテーマに関しては、逆に唸らせられるモノがあった。
いわゆるハリウッドらしさ(分かりやすい娯楽という意)がない。
起承転結をハッキリつけ、「目には目を、歯には歯を」って展開じゃないところが良いと個人的に思った。
例えば犯人のサイコ野郎がスージーの遺体の入った金庫を穴に捨てる時、普通のハリウッドな展開の場合は(警察や家族などに)寸前で阻止される、とか。
あと、スージー、もしくはその身内にサイコ野郎が(逮捕も含め)復讐される、とかが考えられる。
しかし、そうではなく「アホに構うと自分もアホになる」じゃないけど、復讐で後ろを向くよりも、愛した人と最後にやり残したことを大事にする。
アレほどの凶悪犯を放置し「家族の愛」や「この世界でやり残し事」など未来や人間同士が繋がりえる愛に繋げてゆく。
復讐という「罰」を与えることなく、サイコ野郎を放置する。
確かに一瞬モヤっとした気持ちになり、爽快感がないと考え勝ちだが、考え方によってはサイコ野郎は「罰」で裁かれずとも「罪」を負ってる訳だ。
そんな魂の腐った奴はこの先幸せになれる訳がないし、そいつの存在を頭から消してしまって、残った者は幸せの連鎖を繋いでゆく。
それこそが(言葉の語弊はあるが)一番の復讐だと思うし、その考えこそが永遠に繰り返す復讐の連鎖を断ち切れると気づかされた。
そこに、この映画の基本的なテーマを感じ、魂の崇高なる立ち振る舞いが現れていて、むしろ東洋的な宗教観を感じた。
以上ハリウッドの枠から離れれば離れるほど、娯楽としての爽快感を欠いてしまう。
けど、映画から生きる指針とかヒントを得ることも正しいとするならば、このようなテーマも十分に意味がある。
とりあえず、俺の心にはちゃんと残る作品として評価させてもらいたい。