6.《ネタバレ》 10年ぶりに動き出した時間。そこにあったのは、崩壊した家族。
周りの大人たちは、彼に「失ったものを取り戻しましょう」と言うけれど、
何かを失くしたのは、目覚めていた人たちのほうじゃないの?
つまりそれは「家族の絆」だけど。
彼は何も失ってないわ。
ただ、ちょっと手に入れ損ねたものがあるだけよ。
それは、過去10年間で経験したであろう喜びや悲しみ。
でもそれは、時間をかければ、手に入る。
目覚めたばかりの兄に、父の居所を教えてもらう妹と、
母の今の居場所を知らない父(父にとっては前妻だけど)。
おまけに母は、実娘(彼の妹)がとっくに帰国していたことを、
10年間昏睡していた息子に教えられる始末。何やってるのよ。
窓から覗き見える食事風景。少しずつ戻って(増えて)くる家族。
それが、あとになって痛々しい・・・。
24年前に生まれた14歳が願った、『もう一度家族が揃うこと』。
叶ったよ!君の葬式でね。
「生きていて欲しかったなぁ」って切に思わせるラストは、すごく素敵。
でも今の時代、誰かが死ない限り一家全員が揃わない家族って、
少なくないんでしょうね。これまた悲し。