8.《ネタバレ》 よくあるシチュエーションスリラー。閉鎖空間サスペンス。範囲が狭いと動きや展開が限定されるため退屈に感じちゃうこともあるのですが、この作品は面白かったです。
全人類の約半数が感染?っていう謎の終末感は個人的には蛇足な味付けでした。
急にSF。急にザ・フィクションって感じになってしまいまして。
当事者の気持ちで映画の世界に浸っていたところ、急にはじきだされた感じがします。『いや、これ作りもののお話だから。フィクションだから。マジになってんじゃないよ。』って、リアルな雰囲気をぶち壊されたような気持ちになりました。
ただ、この設定がエンターテイメント性を強くするのに一役買っているのも確か。
『しょせん入社試験』だったのが『命や人生に関わる試験』へとその意味を変えていきます。
ある者は自分のパートナーを救うため。ある者は病に冒された自分自身を救うため。文字通り命がけでこの入社試験に臨んでいるわけです。
登場人物はみな個性的。ホワイトにしろブラックにしろブラウンにしろ、ちょっと暴力的かつサディスティックな人間が多いのは気になるところではあります。
ラストのオチは一休さんかと思いました。さんざんもったいつけといてそれかー。なんか答え教えてもらってもスッキリするようなカタルシスはないですね。第一、このオチであればメガネ+ガラスで見える文字のトリックは不要でしょ。
オチはともかく、緊張感の作り方はうまく、攻守交替していく展開はスリリングで見応えがあります。
状況次第で誰しもが加害者にも被害者にもなりうる。これぞシチュエーションスリラーの醍醐味です。