5.この映画は、「マンガ」だ。
ストーリーや設定がではなく、登場するキャラクターそのものが極めて“マンガ的”。だから良い。
シリーズ5作目にして、もはや第1作目の雰囲気の面影は皆無と言ってしまって過言ではない。
カーアクション映画というカテゴリーを超え、ヒーローアクション映画を経て、「ルパン三世」並にアニメチックな泥棒アクション映画に問答無用に進化している。
しかし、その問答無用な発展性がこの映画シリーズそのものの「魅力」になっていると思う。
相変わらずストーリーの内容は薄い。
前作のラストを受け、もはや一流の“悪党”として海外で逃亡生活を続ける主人公コンビが、今度はリオデジャネイロを舞台に地元の悪党と追ってくる最強FBI捜査官との怒濤の三つ巴アクションを繰り広げる。そして最後は痛快に逃げおうせる。
ただそれだけの話である。そしてこの映画は“それだけの話”だけで良い。
あとはヴィン・ディーゼルが“肉厚”なアクションを見せ、強引過ぎる程に派手なカーアクションで締めくくればそれで良し。しかも今作には、そこに“ザ・ロック”もといドウェイン・ジョンソンも加わり、“熱苦しさ”は半端ない。
一応、「最終作」という触れ込みでシリーズのオールスターキャストが登場するとのことだったので、“彼女”や“彼女”の登場が無かったことがいささか消化不良に繋がりかけていたが、そこは最後の最後で「定石」とも言える更なる次回作への“布石”をしっかり打ってくれており、次への「期待感」の発生という満足へ繋ぎ返してみせた。
大概の映画シリーズは5作目ぐらいまでくると、「もういいよ」となりがちだ。
でも、この映画の場合、そもそものスタートの初速がそれほど速くなかったので、シリーズが進むごとに体感スピードは高まっている印象だ。
まだまだスピードメーターを振り切る余地はありそうだ。