7.《ネタバレ》 ディティールが粗い。これは鑑賞した人ほぼ全てが感じる事だろうと思います。そもそも冒頭で一番最初に清丸(=藤原竜也さん)を殺そうとした人からして、雑の一言にすぎる。なんでわざわざ凶器を本人に見せてから襲うのか。不意打ちでいいじゃんね。あの時点ではずいぶん信用されてたみたいだし、食い物に毒でも睡眠薬でも盛ればいい。本気で殺そうとしたんならもっと違うんじゃないかと、結局最後までそういうリアルさに弱い映画だという印象は変わりませんでしたね。
しかし内容は興味深いテーマを扱い、深く考えさせられました。
本当に人間の屑と言っていいような男に対して、そんな人間を守るべきなのか、守る価値はあるのか、殺してもいいんじゃないか、もし自分の家族が同じ目に遭ったら・・・など次々と思考が止まりません。そういう意味では『さまよう刃』と通ずるところがあるかもしれません。
ただやはり、銘苅さん(=大沢たかおさん)も言っていましたが、上記のような理屈は全て、次ぐ言葉にカネが絡んでしまうと途端に弱くなりますね。清丸の屑さは確かに筋金入りの酷いものですが、それが動機だから殺すんですっって言うならじゃあ懸賞金とかの話が出る前に実行しろよ、と。10億って言われてから動き出す人間に大義名分を掲げられても説得力はない。そういう意味では、
「チッ、懸賞金なんてなければここで撃ってやったのに」という白岩さん(=松島菜々子さん)のセリフはグッときますね。
本当に清丸が最低のキャラなので、良い映画ですが後味は最悪の映画の部類に入ります。個人的にこの映画を総評するなら、
『SWAT』+『さまよう刃』+『ファニーゲーム』ってところでしょうか。
あ、あと資産家の蜷川が作った「清丸サイト」の中身が、いいおっさんが何だか中二病みたいなサイトでメッセージ発信してるのが何だか嫌でした。