1.《ネタバレ》 スケープゴートを利用した集団統制手法は、費用対効果に優れています。僅かな犠牲で強固な団結。隣国では国策として採用していますし、日常生活の中でも多かれ少なかれ目にするはずです。残念ながら。おそらく先生の「誰でもよかった」「人の目が怖かった」は真実でしょう。ただし蛮行に至った原因を“幼少期のトラウマ”に求めるのは誤りです。“辛い経験をした者は犯罪に走る”なんて失礼な理論が通用するものですか。トラウマの仕業にすれば自我が守られるから。自分を善人と思い込みたいから。それだけです。それに彼は歯向かう山羊に業を煮やして、本気で殺そうと(!)しました。これは挫折を知らぬ完璧主義者の思考。クラス運営の試行錯誤なく、赴任当初から生贄を選んでいる点からも、彼に情状酌量の余地は無いと考えます。教師主導で生贄政策を取られた場合、被害者が抗うのはほぼ不可能です。さらにあの年頃では、親の問題介入を拒むもの。狭い了見と閉じた世界で、全てが完結してしまう恐ろしさが在りました。そんなマサオの大ピンチを救ったのが“アオ”と名乗る少女。正体は亡くなった姉。幽霊か、少年の心が作り出した幻か。いずれにしても彼は、孤独から逃れました。今回はお姉ちゃんが助けてくれましたが、次回はありません。窮地に陥った時助けを請う人を確保しておくのは、人生の重要課題のひとつ。もし、両親がアテにならないのなら、他に頼れる人を探しておかなくはいけません。結末について。初めは生温い決着に憤りました。社会的に抹殺してやれと。しかし、マサオがイジメの被害を立証するのは意外と困難です。それに追い込むと暴発する輩なのは実証済み。心理的に優位に立った今、あえて奴に逃げ道を与えたのは賢明だったかもしれません。修羅場を潜り抜け、少年は自信を得たでしょう。全てが好転した様子。ただし今回は相手が愚かでした。ツキもありました。ですから決して大人を驕ることなかれ。一人で問題を解決する事が自立ではありません。狡猾な悪人は掃いて捨てるほどいますから。