1.親子3代が泥棒稼業というお話。ここで言う“Family”とは“家族”と言うよりも、むしろ“一族”もしくは“民族”と解釈したほうが良さそうだ。映画の中の彼らが揃って風貌も考え方もまったく似ていない(いや、敢えて似させていない)のも、明らかにアメリカへ渡ってきた移民の末裔であることを強調したかったからに他ならない。これは多民族国家アメリカの大いなる特徴であり、舞台がニューヨークであるならば、尚更似ていなくとも何ら不思議ではない。大柄でダンディな女好きの祖父ジェシー(=コネリー)に何かと憧れを抱いている典型的なお爺ちゃん子で、泥棒というにはまだヒヨッコの孫アダム(=ブロデリック)。そんな彼らの間に立つヴィトー(=ホフマン)は息子アダムの将来を案じ、何かと反目し合う父ジェシーを警察に売ったりする小男・・・といったアンサンブルが面白く、彼ら名優たちの演技合戦もまた楽しい。泥棒映画としてのサスペンスフルなストーリー性よりも、親子の反撥と和解といったテーマをベースに、民族を大切にしニューヨーカーとして生きてきた彼らの人間ドラマにより重点が置かれた作品だと言える。サイ・コールマンの都会的なスコアが心地よく、劇中で歌われる“♪ダニー・ボーイ”が胸に染みる。