1.《ネタバレ》 まどマギとエヴァと黒蜥蜴にインスパイアされた結果がフィルムノワールという着眼点が面白い。ねっとり絡みつくように冷たいシュールな空気に、どうとでも解釈できる"行間"(悪く言えば勿体ぶった)が肌に合えば、この摩訶不思議な世界観に酔えるだろう。それくらい好みが分かれる。もしルイスが娘アリシアのラジオを聞いていれば、もしルイスが病んだ人妻バルバラの誘惑を断っていれば、もし元教師ダミアンがバルバラの嘘を信じなければ・・・・・・愛を求め、擦れ違いと嘘と勘違いをスペインの経済不況と精神分析で包み込み、希望から絶望へと転移していく。願いを叶えた魔法少女アリシアとそのなれの果ての魔女バルバラが表裏一体であるかのように。使い魔ダミアンはアリシアを本当に撃ったのか? 携帯電話を消したのは自分を狂わせたバルバラへの仕返しか、それとも再び悪魔へと覚醒した彼の支配か? かつての某大統領が言った。「この世で一番貧しい者とは、もっと、もっとを求める人のことである」。この"もっと"が今の文明社会を築いたが誰もが幸せになれるとは限らない。現代社会に蔓延する"病"に気付けない限り、金とモノに支配された現代人もこの悲劇と常に隣り合わせだ。