1.《ネタバレ》 まず、「霊的ボリシェヴィキ」なる意味のよくわからない(というより、おそらくマトモな意味なんて無い)言葉が先にあって、それをタイトルに映画作ったとしたらどんな映画になるんだろう、ってな感じの映画。で、結局、こうなっちゃいました。
数名の者が、工場跡みたいなガランとした部屋に集まり、百物語風の降霊会っぽいことをやっている。その降霊会が、左翼系セクトの集会になぞらえられているように描かれていて。
革命思想ってものがそもそも宗教じみている、というか、心霊主義者ってのがそもそもイデオロギーじみている、というか。
集まったメンバーが自分の過去ばかりを語っている時点で、革命的でも未来的でも無いような気がするけれど、なんかよくわからんながらも、そこには奇妙な相似形があるような気もまたしてきたり。
要らんことを言うと暴力を振るわれ、しかし結局は逆らえない。聞こえたはずの、どこからともなく響いてきた笑い声は、テープに録音されておらず、トランプカードの奇妙な一致も、トリックがあるんだか無いんだか。というモヤモヤ感の中、怪しさは徐々につのっていく。トリックであることがすでに広く知れ渡っている「妖精写真」、なのに呪縛から逃れられない。
何らか怪異が迫りくる雰囲気の中、その怪異の正体は、実は自分の過去、そのものであり、まるで自分の内部に吞み込まれていくような、ラスト。
うーむ。わたしゃ学生運動とかの左翼活動が昔っから大キライで、蛇蝎のごとく憎んでいるのですが、結局はこの「嫌う」という事自体が、何らかの形で、それに縛られている、ということ、すなわち一種のオブセッションとも言えるんでしょう。「ノンポリ世代」が持つ後ろめたさと、「ノンポリで何が悪い」という開き直り。そこに生じるかすかな、しかし根強い苛立ちは、上の世代との単純な比較から生じるものではなく、自分の内部から来るものであることを、認めざるを得ない。。。
とか何とかツマラン理屈をこねくり回して見る映画ではなく、あくまでホラーです。怖さ、というか、その怖さが明確な像を結ぶ前の「ヤな感じ」を楽しめば、それで良し。70分少々の短い映画、シチュエーションが限られていて(登場人物の語りが少なからぬウェイトを占める)、その分、舞台となっている部屋、その空間が、しっかり描かれている。これが実にいい感じに「ヤな感じ」。古びた工場、廃工場のようでもあり、しかしそこに備えられている金属製の設備・什器は、冷たい光を反射している。
こういう雰囲気がしっかり出ていれば、タイトルなり設定なりがよくワカランものであっても、楽しめるもんです。