1.《ネタバレ》 若さゆえの思いやりに欠けるセリフの数々、ストレート過ぎる表現で心がざわつく会話の数々、それらにやられて見ている間はずっと息苦しかった。
少なくとも、気持ちの晴れる明るい映画ではない。
付き合ってもいないのに、軽い気持ちで肉体関係をもち同棲すらしている、そうした曖昧な関係性の中にこそ火種があったのではないか?
そういうライトな関係性の方が楽なのかもしれないけど、いざ妊娠したとかの問題が起きた時に、逆戻りできない危険が潜んでいる。
ラストシーンで木竜麻生がしばらく茫然とした後、何かを決意したかのように淡々と料理を作り、淡々と一人で食べ始める。
このシーンに子どもを一人で育てていこうと決意した彼女の強さみたいなものを感じた。
泣きわめく事が多く子どもだった彼女が、おとなになった瞬間。
とても印象的なエンドロールだ。
この監督、『ほつれる』もそうだったけど、決して気分の晴れる作風ではないのに、まるでヤクブツのような吸引力がある。
それはこの監督が描く圧倒的リアルさ故か。