4.小学生の頃に観たいと思ってからウン十年、念願の初鑑賞となりました。犯行時に犯人達は一言も語らず非常ベルや列車の音のみが響いています。丹念な描写とあいまって見入ってしまいました。
そして全編を通じて登場人物全てが必要最小限しか語りません。しかし、その胸の内の溢れ出そうな想いは分かるのです。犯人一味のリストラされた重役とその妻、頬を黒い涙が伝っているゲイの情報屋、スコッチを空けるコールマン、シモン、カティのスリーショット等々。監督の力量と言えるのでしょう。
「刑事が人間に抱く感情は疑いと嘲りだ」と言い放つのとは裏腹さで現実を受け入れているラストシーンのコールマン。「因果な商売だが、これが私の仕事」との胸の内が想像されました。子供時分に抱いた憧れは薄れていますが、本作のドロンは素敵でした。