15.《ネタバレ》 「とにかく不快」と評判で、数軒のレンタル店を駆けずり回ってやっと見れた思い出。
ネタばれを見てしまったのでそこまで衝撃的ではないにしろ、
あの威圧感と不快感、双方とも「何かをしてくれるのでは?」の期待感の地点で、
ハネケの思う壺なのだろう。
昔、ディズニーの『101匹わんちゃん』を見てて、
クルエラと凸凹コンビがヘマせずに勝ったらどうなるかを妄想していただけに、
笑うに笑えない、観客の露悪を嫌でも晒け出してくれる。
極端な話、この映画の暴力とスーパーマンの暴力はベクトル的に違えど本質的にはほとんど同じだろう。
原題が英語なのも暴力という文化を量産し続けるアメリカへの皮肉だ。
しかし、アメリカではあまり話題にはならなかったように、
暴力の本質や「虚構は現実と同じくらい現実だ」と講釈を垂れたところで、
「だから何だ」と相手にされなければその映画の価値はゼロに等しい。
強盗に対して平和的な話し合いをしても無意味なように。
結局、ハネケを喜ばせるだけに過ぎないのだから、そういう意味では0点でもあるし10点満点でもある。
それでも、ある種の吸引力は相当なものでインパクトを残した点で7点献上。