1.《ネタバレ》 私にとっての「パブロフの犬」(泣きっぱなし)映画であると同時に、
ラストの突き放しに愕然とした想い出の一本。
「ヒーロー・ネヴァー・ダイ(’98)」「ザ・ミッション/非情の掟('00)」
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を('09)」など、香港ノワールの名匠として名高いジョニー・トー。
若き時の作品には「チョウ・ユンファのゴールデン・ガイ('90)」「ワンダーガールズ/東方三俠(’93)」
などあるけども、個人的には香港のスクリーンで鑑賞したこの作品のインパクトがめちゃ強い。
妻と別れ、シングルファーザーとしてトラック運転手で生計を立てている元オートバイレーサー。
彼が10年ぶりに妻と再会し、息子との生活を改めて見直した上で生きる努力をし始める。
「キッド」「チャンプ」とか「狐の呉れた赤ん坊」だとか「クレイマー・クレイマー」といった作品と
同様の「父と息子の御涙頂戴物語」なんだけど哀愁感漂うチョウ・ユンファと子役ウォン・コンユン、
で妻役シルヴィア・チャンも、香港映画の名脇役ン・マンタッおじさんも皆いい味出しまくってる。
ラスト、再起をかけたレースシーンまでに行く前にNbu2、泣きっぱなし。
で、普通なら良かった良かったで終わるこの話、若き日のジョニー・トーは只者ではなかった。
自身が考案したこのラスト、彼としては「精神(スピリット)の継承なんだ」という意味も含めて
あの突き放しだったらしいのだけど、もう唖然茫然。香港人の友達内ではそれもあって
評価真っ二つ。でも監督ジョニー・トーの経歴を確かめる上で、機会があれば是非。
ついでにこの映画を鑑賞し涙で呆然としたNbu2に隣のおっさんが
「日本人(ヤップンヤン)、これ食って元気だせ」と 蛋撻(香港風エッグタルト)
を戴いたのは良い想い出だ。エッグタルトはポルトガル風ではなく香港派。