3.《ネタバレ》 コレは面白い!
やはり松本清張のサスペンスはわかっていても面白い。
昔観た「鬼畜」「天城越え」もまた観てみよう。
そして最近見直した「砂の器」といい、
同じパターンだった・・
このあざとい演出は野村監督の技なのか原作からくるものなのかは不明。
今作はコメディかとも思わせるくらいの法廷劇が見事に笑える。
計画的な殺人容疑者桃井かおりの無計画さも見事だが、
弁護士役の岩下志麻の事務的なそっけなさは、
かっこいい~と見ほれてしまった。
保険金目当ての殺人容疑事件を当事者発見者、
報道側裁判側そしてお得意の容疑者の過去に至るまでの描写、
どれをとっても見事で飽きることがない。
桃井の親友であるチンピラ役の鹿賀もはまりすぎ。
エンディングは黒澤明の「悪いやつほどよく眠る」のような感じで、
真実は一体どこにあるのかないのか・・
その後味は不気味なものでも嫌悪感を覚えるものでも爽快なものでもなく、
なんともいえないしたたかさがある。
大人のサスペンス娯楽といっていいだろう。
私は邦画はあまり観ない方だが清張に代表されるサスペンスは、
洋画より地域の細やかな描写が親近感を感じるしテンポも悪くはない。
法廷モノでこれだけ笑えるドラマは珍しいだろう。
ワインを岩下にかける桃井のシーンも見世物。
そしてクライマックスの松本清張のお決まりシーンの、
それは言えない・・シーン。
またかと思いつつこれが楽しみ。
今作では泣きを誘うまでには至らなかったが、
感動作というのではないので仕方がないかも・・
しかしそれでもその真実が明かされたとき、
脚本のうまさや演出の見事さに深いよなぁと感心してしまう。