39.《ネタバレ》 「実話に基づく」という前提で視聴、かつその前提で感想を書きます。
少年の頃からギャング、ないしマフィアの世界で生きた男の人生録、といった本作ですが、正直に思ったこととして、結局主人公の言う「普通の人」「つまらない人」と同じやん、ということです。なんなら対価が命な分だけマイナスまである。
まあ「いや、だからそういうことを描きたいんだよ」と言われたらそれまでですが、それほどにマフィアの世界に魅力を感じなかった。
マフィアの世界に生きているからゴリゴリに金が入り優雅な生活が送れる。なるほど。で、その先は?となると、結局「家庭を持って落ち着け」「家族が大事」「家庭と仕事」「妻と愛人」「朝から晩まで仕事」「警察にしょっぴかれたらヤバい」「仕事を行うチームにも無能な奴がいる」「明らかなミスを犯しても仲間だから守ろうとする」
これ、全部そこらへんで四六時中よく聞く普通のことですよね。
マフィアに身を置こうが「一般」に身を置こうが結局同じと。じゃあ「死ぬ」というリスクを負っている分だけマイナスやん、と思ってしまいました。
グッドフェローズとは「良い奴ら」的な意味ということはなんとなく把握していましたが、一体どこが良い奴らだったのだろうか。
結局全員自分の身が一番大事で自分のためになる周囲の人間とつるんでるだけであり、それはもはや友達ですらなく「仕事上の仲間」と見えてしまった。
てっきり自分の不利益になっても感情的結びつきの強さが普通以上のためそれに沿って行動する、といった話かと思ったらそんなことはなく、世間一般の普通の感覚の舞台をマフィアの世界にしただけ、と見えてしまった。
仲間内を「家族」と言うが、それは「そこから外れたら死ぬから」という理由があるからそう言わざるを得ないだけ。
誰かが結婚した、子供が生まれた、昇進した、その他諸々のいちいちのイベントでパーティが開かれ祝い金を持って半ば強制参加。
本作では描かれていないが「ダルいんだけど」と思っている者も当然いるはずで、職場の飲み会には参加するのが当たり前、という古代の常識と何が違うのかと思わされてしまった。
ここまでの感想は酷いものですが、約2時間半の作品にもかかわらず退屈はせず普通に最後まで見れた、展開的にやりすぎ感も入り込めなさも無かった、といった映画的な面白さから7点とさせていただきます。