4.良くも悪くもアメリカ映画のこれが限界かな?というところを知り尽くしたニコラス・ケイジならではのセンスが溢れてます。82年という微妙にレトロな時代設定もオイシい。最大のインパクトはやはりジェームズ・フランコとミーナ・スヴァーリの恐ろしいほどの存在感で、若さに似合わず見せてくれる深い表情には末恐ろしさを感じました。ハリー・ディーン・スタントンやブレンダ・バッカロのポジションも絶妙ですし、圧倒的に配役勝負の作品だと思いますがこれだけやれば充分でしょう。欲を言うならラストのBGMだけちょっと違うんじゃないかという気がしました。題材からルイ・マルの「プリティ・ベビー」を思い出してしまうのはどうしようもなく仕方のないことですが、ミーナ・スヴァーリのお人形ちっくな無表情さと底知れぬ絶望感、この世界から抜け出そうともがく若者の葛藤など、ほとんどオマージュと言って良いほど強い影響を受けていると感じました。だからこそ母親役がスーザン・サランドンではなかったんだろうと思いますけど、むしろサランドンをかつぎ出して来ちゃっていたらとんでもない茶番劇に落ち着いていた可能性大ですね。「プリティ・ベビー」が好きな方はたぶん気に入ると思います。わたしは好きです。