1.「エトワール」(00)のようなバレエ・ドキュメンタリーというより、映画仕立てのバレエ。 クラシックではなくモダンバレエだけれど、女性はトゥシューズをはきレッスン風景はあまり変わらない。本式にバレエをたしなんだ経験があるネーヴ・キャンベルは踊りも遜色なく、共同脚本も手がけた彼女が美人すぎないことでリアリティもあり。 彼女とまだ若いジェームズ・フランコ、芸術監督のマルコム・マクドウェル(貫禄がついてカッコイイ)以外は「ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ」の団員らしく、ふんだんに盛り込まれるステージに見応えがあり、特に嵐の中での野外の舞台はクラシックには見られぬもの。 スケッチ風に描かれるカンパニーの中で、イエローを差し色としダンサーやスタッフに喝を入れるミスターAはいいアクセント、若いコックのジョシュは自分よりバレエを優先しがちなライにストレスを抱えながらも恋人を支える。 おきまりの主役交代劇さえ劇的な演出はされず、当たり前のように見ていられるのは驚き。 ロバート・アルトマンの「ゴスフォード・パーク」を見る人は多くても、こうした作品は「映画としては」とスルーされがちで、同じ系統の「ザ・プレイヤー」「プレタポルテ」ほど知られてもいないけれど、魅力ある作品。