1.《ネタバレ》 いやぁ、まさかマカロニウェスタンで政治劇が見られるとは思いませんでした。ガーフィールド大統領暗殺事件と思わせておいて、実はケネディ大統領暗殺に材をとり、なかなか渋い政治ドラマを展開しました。
本作の面白い点は、主人公のビルは、あくまで父や友人を殺された復讐として敵を追っています。彼から狙われるピンカートン一派は、伝統的な南部の価値観を遵守しようとする保守派で、州知事や保安官も一枚噛んでいます。そして大統領や側近のマクドナルドは、もちろんアメリカという国の行く末を視野に入れて行動しています。こうした価値観の違い、個と公との視点の違いが、全編にわたって物語を支配しており、そこから生まれてくる齟齬や腹の探り合いが面白い。ある時は対立しまたある時は手を結ぶという展開は、マカロニらしいと言えるでしょう。
もちろんそれだけではなく、アクションも適度に盛り込まれてあります。ただ、主役であるジュリアーノ・ジェンマの見せ場は、意外と多くありません。ここでのジェンマは、あくまで「主要人物のひとり」という立場です。しかしそれが逆に、物語に厚みを持たせています。彼を助ける新聞社の2人もいい味を出していました。なかなか見ごたえのある拾いものです。