3.狂王と従僕もの、というか、ドンキホーテ的な流れ芸人ものというか。とにかく、男の心にしか興味のない監督ではある。男の純情。とりわけ運転手リプト君において。局からの番組打ち切りの通知をロシュフォールに届けさせないように逃げ回っている旅。胃もぼろぼろ。赤い犬、放り落とされる自転車など、不安のイメージがまといついてきて滅びの予感が漂う。車の故障で道端の人で済ませてしまう中継(打ち切りになるラジオのクイズ番組の老司会者の話なの)。男の友情の話というより、どこか傷口をナメあっているような感じがあり、対象と監督の視線との間に冷たい距離が微妙にある。もっぱらラストを洒落て決めるフランス映画にしては、終盤ちょっとズルズルしたか。