2.《ネタバレ》 シリーズ第7作。今回は冒頭にいつもの主題歌が流れないので、このシリーズとしてはちょっと異色なオープニングだ。前作「お竜参上」に引き続いて加藤泰監督が登板しているが、さすがに3本目ともなると平凡な印象で、どちらかといえばオーソドックスな仕上がり。公害問題を絡めているのは実際に公害が社会問題化していた時代背景を取り入れた結果だと思う。同じ年に東宝も公害問題をテーマにしたゴジラ映画「ゴジラ対ヘドラ」を製作しているが、本作は公害問題はあくまで背景にすぎず、シリーズ作品として見た場合、さしたる違和感もないのだが、なにか中途半端に当時の社会問題を取り入れてしまった感があり、そこがちょっと残念。先にも書いたように加藤監督のほかの2本と比べて平凡な出来ではあるのだが、殺された鶴田浩二の遺体を目の前に組の者たちが泣き崩れるシーンの長回しや、そのシーンの最後で突然始まるお竜の独白のシーンは加藤監督らしいこだわりが見え、印象に残る。お竜が陸軍大臣と会うシーンは、陸軍大臣のキャラクターがテンション高くて思わず笑ってしまった。クライマックスの立ち回りの場所が鶴田浩二の初七日法要の場というのもある意味強烈だが、喪服姿で啖呵を切り、立ち回りを演じるお竜のかっこいいこと。やはりこのシリーズを見るたびに思うが、お竜というのは藤純子いちばんのはまり役で、彼女以外のお竜は考えられない。鶴田浩二の幼い息子との交流はもう少しドラマを持たせたほうが良かった気がするが、それでも二人が抱き合うシーンはとても感動的でまさに名場面と言っていいくらい。たとえ凡作であっても印象に残るシーンやセリフがあるだけで見て良かったと思えるから映画というのは不思議だ。好きなシリーズなので次回が最後の作品になるのがちょっと惜しい気がする。