1.《ネタバレ》 清水宏監督作品としては『有りがたうさん』を更に超える素晴らしさ。
温泉宿の旅情、高峰三枝子の妖艶たる美しさ、盲目の人に対する等身大の表現、日本映画的な素朴さ、その全てが実に良い。
これだけのものを1時間という短い尺の中で表現できるのが凄い。
ムダに長い映画はこの作品を見習うべきだ。
按摩の高峰三枝子に対する恋心。
これが痛いくらいに伝わってくる。
盲目というハンディキャップは間違いなくそこに存在する。
それをあるがままに描いた本作は、1930年代という時代だからこその成せる業であり、そういう意味でも貴重な作品である。
本作の様に、盲目の人のハンディキャップをあるがままに描いたら、現代では間違いなくバッシングされるだろう。
現代とは、いかに息苦しく、そして制約が多く、つまらない世の中だろうか。
綺麗ごとや、決まりきった常識やらが偉そうに闊歩する現代において、更に輝きを増す作品なのではないだろうか。