6.ヴェンダースにしてはメッセージ色の強い作品。セリフ過多のそのメッセージはヴェンダースがいかにアメリカを愛しているかということの証明でもある。その中で『ミリオンダラー・ホテル』を彷彿させる青みがかった映像がリアルな政治色を排除するかのように美しい虚構性を醸す。さらに、『都市とモードのビデオノート』以降描かれてきた「映像のあり様」がここでも描かれる。ハイテクが作り上げた映像と自らの概念だけで物事を判断し、行動する伯父。一方、ノートパソコンをコミュニケーションツールの一部として利用するものの、何よりもじかに見る、じかに会うということを本能的に重んじる姪。はるかイスラエルからやってきた姪の目的は母の手紙を渡すこと以上に「会う」こと。また、浮浪者の死の謎を解明するよりもまずその屍を親に直接持っていくことを優先する。出会うことで何かが生まれる、出会わなければ何も生まれない、というロードムービーの大原則の意味するものこそがヴェンダースが愛するアメリカに向けたメッセージなのだと思う。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-01-26 16:37:26) (良:1票) |
5.透明感のあるきれいな映像で引き込まれる。見えない恐怖に怯え過ちを犯す人々が空しい。テロに対する是非ではなくその後に残る見境のない憎悪と冷めた現実との対比が呆然とさせる。しかし人事ではないなぁ~。 【カリプソ】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-09 23:11:51) |
4.9.11のテロは悲劇であり悪である。とただ単純に言ってしまえば、9.11のテロに歓声をあげていた一般の人たち、つまりは世界の声に耳を塞いでしまうことになるし、何も変わらないんじゃねえかと。 んま~それはさておき映画はというと、自らの価値観や考えを信じて疑わず、そういう目でしか世界を見ることができない叔父はどこか滑稽に見えた。それは今のアメリカを象徴しているように見えたけど、それが監督の意図したものなのかどうかはわからないですね。しかしアメリカとテロに対する監督のメッセージがあるのは間違いないし、それを美しい映像と皮肉ったような表現で描いたこの作品はなかなかいい感じ。 【ばかぽん】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-10-03 03:08:03) |
3.《ネタバレ》 相変わらず、美しくアメリカを撮る監督です。過去の戦争の呪縛から逃れられない叔父。現在戦闘中の中東からやってきた姪。なんのこだわりもなく、わざわざ弟の死体をもってきてくれた人に抱きつく兄になんの邪念もない。周りは敵ばかりだと思い込んでいる偏狭な考えの叔父がいろんな人の温かさに触れ、ソレを露骨な表現やワザとらしい表現で描かず、所詮同じ血が通った人間であることに気づかされる。 【さら】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-08-28 10:34:38) |
2.《ネタバレ》 中盤までの伯父さんの勘違いエピソードは、どこか話をコミカルに見せてしまうような気がしてあまり似つかわしくないと思う。ただ、全体の構成というか空気感がすばらしくてとても低予算、短期間で作られたとは思えない作品だ。 【アフロ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-08-08 04:23:52) |
1.アメリカは自分から傷ついたなんて言わないから、外国人(ヴィム・ヴェンダース)がこのように描くことにさえ、憤りを表明するかもしれない。でも直接言わなくたって、彼らの思いはあらゆるところに染み出ている。私は、アメリカは心配ないと思っていて、それでもこの映画を見られて良かったけど、普段そんな風に考えない人こそ見る価値ある映画じゃないか。メッセージがもっと直截でも良かった。 【伯抄】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-02-19 17:49:33) |