6.《ネタバレ》 ケラリーノ・サンドロビッチの舞台は何度か観たが、ユニークなキャラクターとウィットに富んだセリフがおもしろい。
その特長が本作にも活かされている。
投身自殺と思われた料理教室の講師の死をめぐって真相を解明していくサスペンス形式だが、犯行トリックは無理筋で推理クイズ並みのこじつけレベル。
そういったことは実はどうでもよくて、あくまでケラ得意の軽妙な会話が肝になったライト・コメディに仕上がっている。
インタビュー形式のモノローグを時折り挿入したり、クライマックスで教材のナレーションが犯行の解説に移行したり、演出も巧み。
ラストは名探偵の子どもを買収して探偵ゴッゴの継続を表すオチで、しっかり計算された構成。
主演の奥菜恵はコミカルな役にハマって好演。
脇を固める犬山イヌコ、池谷のぶえのオバサンキャラも個性的で抜群の存在感。
ただ、ケラ作品は生の舞台のほうがインパクトがあって好き。
映像でもおもしろいんだけど、内容自体は頭に残らず、しばらくすると忘れてしまうような軽さがある。
テレビやDVDならいいけど、決して映画館で見たいとは思わない類の作品。