9.《ネタバレ》 直訳すると原題は「戦争の犠牲者」。この「犠牲者」はもちろんレイプされ殺害された女性を筆頭にしたヴェトナムの民衆たちを指しているのだが、情緒的な日本人が撮るとそこに「政治や社会のせいで戦場に来ることになってしまった」兵士たちも含めてしまうことが多い。しかしこの映画でデ・パルマは、ショーン・ペンたちの非道な行為は個々人の邪悪がなせる業であると突き放した冷徹な眼で描いているのです(たとえ群集心理的な要素があったとしても)。こういうところは、デ・パルマもキリスト教文化のもとに育った人なんだなと感じます。激しい銃撃戦のさなか、刺されて血まみれのヴェトナム女性がよたよたと橋の上を歩く姿には、十字架を背負ってゴルゴダの丘にひかれてゆくキリストの様でした。ペンのほかにもジョン・C・ライリーやジョン・レグイザモといった今をときめく曲者俳優たちが若々しくって良かったです。 『アンタッチャブル』で大成功した次になんでこんなに後味が悪い映画を撮ったんだと批判もあったそうですが、これはきっとデ・パルマの良心だったんでしょうね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-13 23:27:47) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 マイケル・J・フォックスが想像以上に良い演技をしていた。内容も心に残るものだ。主人公が味わう苦悩は、程度の差こそあれ、誰しも一度は経験するものではないだろうか?集団対個人という図式において、自分はどのような行動ができるか。正しい判断を下すことができるか。最近、イラク戦争で少女をレイプし殺害した米兵の裁判が行われ、見張り役が懲役110年の刑を言い渡された。未だにこのような蛮行が行われていることが痛ましい。映画のラストで、ベトナム人学生を演じている女性は、ショーン・ペンらにレイプされ殺された女性と同一人物だ(メイクで顔を変えて演じている)。主人公の苦悩は癒されるべきなのだ。戦闘シーンなどの無駄なデ・パルマ・タッチがなければ、映画としてもっと評価されていたであろう、隠れた名作。 【フライボーイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-08-07 17:16:47) |
7.《ネタバレ》 デ・パルマの戦争映画、ちょっと異色な感じもするけど良かった。悪いとは分かっていてもレイプに加担してしまった男が何だか悲惨、自分があの立場にいたらどうだったろう?初めはミスキャストかと思っていたマイケル・J・フォックスも、正義感に燃える正直者の役にピッタリだった。最後にベトナム人女性との会話で「悪夢は終わった」と言っているけど、ベトナム戦争の闇は永遠に史実から消えることはないのでしょうね。それでもこの一言で物語としては大分救われたような気がします。 【かんたーた】さん 7点(2004-04-23 07:42:31) |
6.《ネタバレ》 後味はかなり悪い。少女を助けようと思っていた新兵は、思っていただけで何も出来ないまま。せいぜい少しの水とビスケットを与え、少しの希望を与えただけ。一生そのトラウマに悩まされるのは、他の兵士たちよりむしろ彼の方。組織の中ではどうしても少数派が負けてしまう。抵抗し反発し、内部告発してみても、組織の大きさにはかなわない。日常でも言える事だけど、それが戦争という異常な状況では何があっても不思議はない。良心のある者が多数派でなくてはならない。そうでなければ物事が良い方向に進むはずがない。全ての事が善と悪に分けられるわけもないが、少なくともレイプや殺人は悪だ。テロや対テロも同じだと思う。そういったメッセージを汲むことはできたが、終わった後に「悪夢だった」では何の解決にもなっていない。後味はかなり悪い。 【ちゃか】さん 7点(2004-04-20 12:35:25) |
5.いつ死ぬか判らない状況下。だから何をしてもいいのか?だから責任ある行動をすべきなのか?という人間性の問題と軍隊組織における規律や上下関係の問題が複雑に絡んで主人公は葛藤する。レベルは違うが、自ら犯罪行為は犯さなくとも、上司から犯罪行為を指示され、従わなければ解雇だと言われたらどうするのか?あなたは犯罪行為をしますか?解雇を選びますか?それとも社長に告げ口しますか?己を捨ててまで守り通すべき正義とは何なのか?を考えさせられる。 |
4.この手の映画は、好い役のマイケル・J・フォックスよりも、悪い役のショーン・ペンたちの演技にかかっているわけですが、その点納得のいく内容でした。ベトナムでのアメリカの悪行は枚挙に暇がありませんが、そういう一面を描いた一種のドキュメンタリーでしょう。ブライアン・デ・パルマにエンニオ・モリコーネなんだから、もうすこし上のレベルの映画になってもよかったと思うのだけれど、普通に問題提起して終わってしまったね。 【オオカミ】さん 7点(2003-12-01 06:28:10) |
3.戦争の残酷さがはっきり出ていて良かった。タイトルの軽い感じで軽く見たのですが、内容は相当重い。でも戦争映画としての完成度は高い上、テーマもはっきりしていて難しく考えるというより倫理感というものについて「自分がああいう立場だったら・・・」となかなか興味深い内容でした。 【恥部@研】さん 7点(2002-12-10 00:31:36) |
2.問題に対する焦点の当て方が明確で、その分ストレートに伝わってくる作品でした。音楽がいいなぁ~と思って観てましたが、モリコーネなんですね、、、さすが。 【wood】さん 7点(2002-11-25 13:58:14) |
1.なんだか複雑な気分になりました。でもきっと、いつの時代、どこの国でも戦争中は特にこんなことは日常茶飯事だったのではないでしょうか・・・。それにしてもショーン・ペンは迫力ありましたね!ピッタリの配役だったと思います。 【ミント】さん 7点(2002-10-31 09:41:01) |