2.《ネタバレ》 面白い。人に勧められなくもない。
想像が及ばない世界の、日常的ラブストーリー的な何かだろうと、ドサッとそろえたDVDの中に埋もれていたものを忘れた頃に観る。そういう中の1本だった。
だいたいそういう映画は観てみるとラブストーリーではなかったりする。時にはドキュメンタリだったりする。この映画もラブストーリーではない。だから、この映画を観たときの、「突然クビの後ろを触られてビクッとする」ようなヤメレよ的不意打ちではなく、「夏に買っておいたガリガリ君を冬に食ったら、それが当たってた」的な心くすぐる度は非常に心地が良かった。
日常をベースとして、物語がきちっと時間軸を狂わせることなく、3組のカップルと主人公と一人の女性たちが明確な接点を持たないまま、微妙な共通の上で虚ろさに悩む。こういった設定はアメリカやヨーロッパよりも、こういう中東とかアジアとか、そういう世界のベンダの方が得意なのかもしれないな、などとも思う。
不思議な少女の役割は決して明確ではないが、それは果たして主人公にとってのセラピーになったのだろうか、そのあたりをあからさまに表現しないあたりの繊細な力業は感服してしまう。すべての登場人物が、何らかの解答を得てそれに従うけれど、それが果たしてどういう未来を生むのかな、なんてぼんやりと考えられる味わいは秀逸。
また、日常を収めた画が非常に綺麗で、DVDが液晶テレビに映し出されるときの、不快なぼやけもなぜかそういう味かもね、という独特の雰囲気になっていた。もしかしたらブルーレイ(がでているかは知らないが)で観たら全然違う空気なのかもしれないが、作者も意図していないだろうその雰囲気に没頭することができた。
なんか得したな、そういう気持ちになれた。