15.《ネタバレ》 ●デリンジャーにはあまり似ていないジョニー・デップが主演。マリオン・コティヤールが演じるビリー・フレシェットという女性とデリンジャーとの関係を縦軸に、かれを追うFBI捜査官のメルヴィン・パーヴィス(クリスチャン・ベール)らの追跡ぶりを織り込んでいく。いわゆる「ドラマティック」な展開というのではなく、ナラティヴな話法にしたがわずに、映像的にポイントポイントを重点的に描いていく感じ。だからデリンジャーの脱獄にしても、史実である木製の銃に似せたものを使ってのくだりの描写なんか、「木製銃だった」とチラリとセリフで語られるだけで、へえ、そこに重点は置かないわけだ、などと思わせられる。いくつかのシーンの白昼夢のような光景が印象に残り、たとえばそれは冒頭の刑務所からの集団脱走のシーンの、刑務所の壁や周辺の風景、そして銀行強盗シーンの異様に高い銀行の天井だとか、ほとんど人影のない銀行の外の風景とかになる。それらのシーンではいっしゅの沈黙が画面を支配しているようなのだけれども、ただ銃声だけは鳴り響いている。ずっと、そういう画面のちからのようなものに魅せられて観ていて、こういうのも新しいタイプの映画のあり方だな、などと思う。好きな映画である。 ●マイケル・マンという監督の作品はほとんど記憶になく、監督の名を記憶にとどめようともしていなかったのだけれども、こういう作品をつくるひとなのであれば、ほかの作品もちゃんと観てみたい。ただ、このひとの作品というのはそりゃあ「男と男の映画」だろう、ぐらいの思い込みは持っていて、そうするとここでデリンジャーのジョニー・デップに相対するのはメルヴィン・パーヴィスのクリスチャン・ベールかよ、と思って観ていくわけだけれども、どうもこのメルヴィン・パーヴィスというのは好きになれない男で、まあそういうふうに描かれているわけだ。そう思っているとラストも近くなってから、そのメルヴィン・パーヴィスの部下の捜査官が「デリンジャーはシャーリー・テンプルの映画なんか見ない」などとイイこというわけで、そうするとその捜査官こそが選ばれた人物で、ラストにとっても重要な役割を果たすことになるのだった。いやあラストはまたないてしまったではないですか。この捜査官を演じていたのはスティーヴン・ラングというひとで、「アバター」でマッチョなかたき役を演じて大暴れするひとだった。 【keiji】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-01 14:50:49) (良:1票) |
14.《ネタバレ》 ギャング映画には、ある種お決まりのスタンスというか測定路線のスタイルがあるが、本作はそういう従来の枠にはまる事なく、巨匠マイケル・マンの円熟したスタイルが貫徹されていると言えよう。それはステディカムを多用し、リアリズムとクールさを融合させた、彼独自のトーンであり、人によって好き嫌いはあるだろうが、本作ではそれが最後まで貫かれている。また、ライティングの美しさ、そして、特に銀行強盗でのショットの格好良さには目を見張るものがある。無論、ジョニー・デップもクリスチャン・ベイルも最高に格好いいわけであるが、ただシナリオの出来には少々不満がある。愛するたった一人の女。彼女との関係が描写不足に感じたので、例えば彼女が警察に捕まって連れて行かれる様子を見て一人男泣きするデリンジャーを見ても、それほど心揺さぶられるものがないし、ラストにしてもやはりそう。格好よさ、クールさを貫いてるのはわかるが、私としてはもう少し、情感を加味してほしかった。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-06-26 23:51:36) (良:1票) |
13.141分という数字に若干不安を覚えたが、マイケル・マンがジョン・デリンジャーの伝記映画なんぞ撮るはずもなく、そのことを証明するような冒頭数分で一気に不安は解消される。この映画のデリンジャーは最初から銀行強盗であり、そこには「なぜ」も「だから」も無い。銀行強盗は銀行を襲う。捕まれば脱獄する。そしてまた銀行を襲う。その行程をひたすら見せる。銀行強盗のプロフェッショナルな行程を。寸分の狂いもなくマンの映画だ。デリンジャーと対称軸にいるのがFBI捜査官のパーヴィス。こちらはクリスチャン・ベールがうまい。登場シーンに見る、犯罪者に情け容赦のない様はまさにマンの描くプロフェッショナルな男。ところが指揮権を委任されながらもマスコミを意識する長官からの横やりがこの男を曇らせてゆく。そのかわりにそのプロフェッショナルを引き継ぐのがベテラン捜査官ウィンステッド。映画館前で見せるその佇まいの美しいこと!デップよりもベールよりもマンの男かもしれない。この男に当てられる光がそう語っている。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-03-01 17:11:49) (良:1票) |
12.巨匠になったマイケル・マンがやりたいことやってんなぁというのが率直な感想。映像のこだわりはすごい割りに、エンターテイメントは置いてけぼりというのがいかにも「巨匠」らしい。マイケル・マンの作品で期待するのは銀行強盗であれ警察であれ隙のないプロフェッショナルな仕事であり、ストイックであるがゆえに生まれる緊迫感が醍醐味だった。ところが実話とはいえ追われる方も追う方もしょーもないミスが多すぎるから間のびしてしまう。まぁドキュメント作品としてみればいいのだろう。ジョン・デリンジャーという男の予備知識がないと彼の行動パターンはなんのこっちゃとなるが、監督のコメンタリーを補足にして観るとあぁ納得となる。しかし輸送用飛行機も蒸気機関車もCGじゃなくて実写というのだからさすがだ。署内で捜査資料を眺め、刑事に野球のスコアを聞くジョニー・デップはよかった。 【michell】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-07 15:47:49) |
11.面白くないことはないのですが、今一つ入り込めなかった感じがしますね。 デリンジャーという人間をもう少し丁寧に描くとまた違ったのかも?しかし脱獄がこんなに簡単だとは(笑) 【東京ロッキー】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-16 13:36:16) |
10.《ネタバレ》 面白いのだけれど何か物足りなさを感じてしまう作品。 それは、この主人公に共感できないから。 大恐慌、世界恐慌という時代背景にあって、一部の富裕層からのみ略奪を繰り返す彼は、当時の一般民衆にとってある種のヒーローだったのかも知れないけれど、やはり犯罪者は犯罪者であって、無条件に賞賛できる訳もない。実際、彼の行った銀行強盗によって、どれだけの悲劇が引き起こされたのか計り知れない。当時、銀行強盗による被害に保険が掛けられていたのだろうか? そして、唐突過ぎる熱愛劇。確かに「運命的な出逢い」というのはあると思うし、否定などしないけれど、こうやって映像で突きつけられてしまうと逆に反発したくなってしまう。あの状況で映画に行くか?大胆不敵=能天気なのか? どうもしっくり来ない作品です。でも、決して長尺を感じさせない。流石の演出です。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-04-03 16:43:50) |
9.《ネタバレ》 序盤はただジョニー・デップの為の映画かと思いきや、なかなか良かった。銃撃戦は迫力十分。実際の人物は知らないが、史実を大事にしつつ、娯楽性のあるものになっていると感じた。 【ラグ】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-29 19:57:04) |
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8.《ネタバレ》 映画だねえ。まさに「映画」最後にウィンステッド捜査官(スティーブン・ラング)がいいところ全部持っていったという感じです。たくさんの素材をいろいろ詰め込んでいるんだけれども詰め込んだ感じがない。すっと見せてくれる映画だ。良い映画には後々話の「ネタ」になるようなシーンがあるものだがラストは特にいろいろ語ることができそうです。と,言っているわりに点数が低めなのは人物関係が分かりにくかったからと少々長かったから。きっと,米国ではけっこう有名な話だからだと思うのだけれども・・・。そうそう,史実でメルヴィン・パーヴィス捜査官の翌年FBIをやめたのはフーバー長官より目立って嫌がらせをうけたんですかね? 【蝉丸】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-07-28 18:24:40) |
7.《ネタバレ》 なぜ、自殺行為と思われるような、映画鑑賞に行くのか?なぜ、警察署内に堂々と入っていくのか?なぜ警察が見張っていると分かっていながらビリーに接触するのか?そんな感じを抱いて、レンタル屋にDVDを返却しに行って、店内に貼ってある、この映画のポスターに書いてあるコピーで分かった。彼は自分の美学を貫いたのだ。犯罪映画というより、「男」の映画なのだ。そうすると「ヒート」「インサイダー」のマイケル・マンらしい。色んな役をこなすジョニーディップが演じていたので、そこに気づかなかった。実在の人物なので、ラスト殺されるのも仕方ない。そういう事実だったんだろう。ただ自分はこの結末を知らずに観ていて、ビリーと一緒になれたら幸せだろうに、と思っていたので、ちょっと残念だった。最後のエンドクレジットで銃の腕前がいい、パーヴェスがこの事件の次の年に自殺したことが分かるのだが、その理由が何故かよく分からなかった。事実だから、と言われてもなぁ。そして皆さんおっしゃるように最後、ビリーにデリンジャーの伝言を伝えにいく老刑事がカッコいい、と自分も思った。これも事実にそったキャスティングなのかしらん?こんな渋い刑事だったのかなぁ?でもこの親父どーっかで見たような、あぁそうか、「アバター」のあの親父だった。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-06-09 01:54:58) |
6.《ネタバレ》 正直観ている間はあまりノレず、ちょっとウトウトしかけた所もあったが、思い返すたびにいい映画になっていく。というのも印象的なシーンが非常に多いので。冒頭の脱獄シーンやパーヴィスの登場シーン、特にウィンステッドら3人の捜査官が駅に到着するシーンなんて西部劇みたいで非常にワクワクした。 またちょくちょく挟まれる銃撃戦も相変わらずのマイケル・マンで、暗闇にトンプソンやらBARやらこだわりの銃声が響き、木片がバラバラと飛び散る映像のこだわりようはどうしたって楽しい。これだけでも充分観た価値があった。 ラストの映画館前のシーンの空気も何とも最高で、捜査官たちの姿、デリンジャーの最後のひと睨みから絶命の瞬間、そこからのウィンステッド捜査官の行動に思わずホロリとする。 今作ではマン・ファミリーの一員であるスティーヴン・ラング、もしくはマリオン・コティヤールが美味しいところをかっさらっていくが、ジョニー・デップと張り合うほどの出番もなく、見せ場といえば銃撃戦くらいしかなかった損な役回りのクリスチャン・ベールもイイ。コティヤールを尋問する捜査官をラングと共に止めにくるシーン、ベールが扉を開けて入り、ラングが捜査官を壁に押さえつけるあの呼吸、地味に良かった。 【Sgt.Angel】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-03-06 19:22:03) |
5.巷の評判がいまひとつですが、面白かったです! ただ宣伝の仕方がさあ…… 「今度のジョニーは銀行強盗 ハートも盗む」 何ていうどうにも甘~い文句で、 それにつられたミーハーな客が楽しめたかどうか疑問。 硬派な男くさ~い映画です。 でも全編デップの素顔が観れるのでファンは満足かもしれません(笑) 【kiryu】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-01-08 23:30:32) |
4.《ネタバレ》 マイケル・マン監督のジョニー・デップによるジョン・デリジャー映画は間違いないだろうと多大な期待を膨らませて観ました。確かに2時間20分は全く飽きずにスクリーンに集中出来ましたし、ジョニー・デップのデリンジャーは大変に魅力的なキャラとして写されています。そして冒頭も含め何度もある激しい銃撃戦は『ヒート』を彷彿とさせてかっこいい・・これだけでOKとも言いたくなります・・が・・何だろうなぁ、諸々面白い要素があるのにどうしてもあと一歩のれなかったのも確か。それは監督がインタビューで『人物の内面から描きたかった』と語ってはいますが、そこがいまひとつ伝わりきれてないように思えました。マイケル・マン監督の持ち味のドライな演出がそこの部分を描くには邪魔してる感じがしました(でも、そのドライさが好きでもあるのでなかなか複雑)。人間ジョン・デリンジャーがよく分からないままなので、後半の悲壮な逃走劇も気持ちが入り込めず、ただ『起こっている出来事』として観てしまいました。でもなぁラストでデリンジャーが撃たれた後の淡々とした演出とかはかなり好きなんですよね・・ドライとウェットのバランスがいまひとつ取れてなかった為に面白いけど惜しい映画という印象になりました。ジョニー・デップのデリンジャーは相当いいので願わくば、ギャング稼業を始めた時から死までの長編一代記として観たかったです。 【まりん】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-12-19 19:01:04) |
3.《ネタバレ》 独自の美学を貫き紳士的な体裁を保った怪盗、渋い男の映画ですね。狙撃手の目線から撮ったリアルなカメラワークと渇いた銃の音、銃撃戦において監督マイケル・マンワールドを存分に体感できました。愛した男を想い続けるビリーの毅然とした態度に好感が持てました。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-12-16 00:19:11) |
2.《ネタバレ》 この映画でひとつ残念なところは、『ヒート』や『アメリカン・ギャングスター』のように、捜査官(=追う者)とギャング(=追われる者)を描いていながら、〈パーヴィス〉対〈デリンジャー〉という単純な図式にはなっておらず、途中参加の老捜査官〈ウィンステッド〉が実質的な主人公になってしまうという、作劇上のバランスの悪さだ(史実だから仕方ないけど)。そこにまた、デリンジャーとビリーの恋愛模様が中途半端に描かれるから、尚更ややこしくなる。そしてこの長尺。実のところ3回は本作を観ているが、中盤のデリンジャー逮捕から脱獄までの間にいつも眠くなってしまい、気がついたら、逮捕されたはずのデリンジャーがシャバに戻っているという事態に毎回陥ってしまう。マイケル・マン監督は相変わらずストーリーテリングに難ありだが、銃器の扱いに関しては作品を重ねる毎に磨きがかかり、今回も全く惚れ惚れするほどの銃撃戦を展開してくれる。ちょっと甘めに7点献上。ウォーレン・ウォーツの『デリンジャー』と併せて観ることをオススメする。 【フライボーイ】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-12-15 07:43:00) |
1.やっぱりマイケルマンは熱いですね! 男の渋さを出すのがうますぎます。 ジョニーデップも最近エキセントリックな役が多かったので、久しぶりに原点に戻ったシリアスな演技を見た気がします。 結構長めの映画ですが、ゴッドファーザーを思い出させるようなマイケルマンお得意のエピックな銃撃戦の連続に、ジョニー含め数々の俳優さんの名演技のおかげで、飽きずに見れました。 一応史実に基づいているためか、最後のストーリー展開は自分が期待していたマイケルマン的熱さがありませんでしたが、それでもこういうかっこよさもあるのかなと思わされます。 重厚で渋くてかっこいい。そんなギャング映画です。マイケルマンのHeatやコラテラルが好きだった人は絶対気に入るんじゃないでしょうか。 【ronronvideo】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-12-05 09:29:26) |