9.井筒監督の過去作品における「若者の暴力」はどちらかといえば肯定的に描かれてきた。「喧嘩」という暴力。それは暴力であるまえに若者の言語でもあった。そしておそらくは監督自身も経験してきた暴力であったはず。しかしこの作品で描かれるのはひたすら「負」でしかない暴力だ。コミュニケーションもなければモラルもない。拳の痛さは金属バットから伝わる鈍い痺れへと鈍化し、集団でしか行動できず、一方的な暴力しかなく・・そう、もはや喧嘩ですらない。この映画を見る前、舞台が東京であることにかなりガッカリしていたのだけど見て納得。監督は「今」の若者をはじめて描いてみせたのだ。その「今」の象徴が東京なのだ。バーチャルな妹も「今」を表すアイテムに過ぎない。そして「今」の若者、「今」の暴力に怒っている。ちゃんと喧嘩せえやと。ちゃんと成長せえやと。井筒のおっちゃんは怒っているのだ。その熱い想いが鬱陶しくならない程度に染み渡っていい感じ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-05-10 16:09:27) (良:2票) |
8.《ネタバレ》 彼女を寝取られた事から殴り合いが起こり、それぞれが悪い仲間達、知り合いの元自衛隊などを引き連れて争いの規模が大きくなっていく…。なんだか「アウトレイジ」をより現実の世界に置き換えたような映画だと思いました。集団心理や、その場の状況で行き過ぎた行動をとってしまうというのは実際にありそうでリアルな恐怖を感じました。配役も見事にハマッていてよかったです。 【nyaramero】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-05-08 10:50:36) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 ヒーローショーのように社会は単純に出来ていないし、悪いことをしてもセーフティーゾーンに逃げ込めば守ってもらえるし何とかなるなんて世の中そんなに甘くない・・・。そんなことを、井筒監督は世の若者たちに説いているような気がしました。 後藤淳平演ずる勇気は恐らく監督自身の思いを投影したキャラクター(非常に昭和的)なんだと感じました。そして彼をもう一人のユウキをはじめとする他の若者たちの起こす騒動に巻き込むことによって監督自身が感じている現代社会そして若者たちに対する苛立ち、怒りを表現しているのではないでしょうか?なので、合う人合わない人と別れる作品でしょうね。 主演のジャルジャルの演技も悪くなかったです。特に後藤の方は男前の役ということもあって本職の役者顔負けの存在感でした。福徳はまあ普段のキャラ通りでしたんで・・・・。 【TM】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-10 12:12:19) (良:1票) |
6.【雑記】 阪神ファンの自分がこれ見てなにを感じたか・・ あ、鳥谷君が出てるって・・ それも良くないことに悪い鳥谷君が出てるって・・ しかも、金属バットなんか悪いことに使いよるねんて・・ 後藤君と虎のキャプテン鳥谷敬君はよく似てる。 途中からジャルジャルじゃなくて鳥谷君が主演の映画であるかのような錯覚に陥ってしまった。なんか妙な感覚。ちょっと得した感じ。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-11-06 22:49:00) |
5.《ネタバレ》 ストーリーに引き込んでいくパワーはものすごいが、話が進んでいくにつれてリアリティがなくなっていき、その上まとまりのない結末で、結果無駄なものが多い印象を受けた。 あと監督はギャルゲーがどういうものか良く分かっていないと思う。普通あんな楽しみ方はしない。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-09-21 17:24:33) |
4.《ネタバレ》 決戦で死んだと思ったヤンキーが蘇る時の表情、主人公が家に帰ってカップ麺食いながらエロゲーこの2つのくだりはベタすぎる。だけどトータル見ると主人公ユウキ役の福永は頑張っていたように見える。ほとんどこの人の割合が大きいし、福永自体も適役だ。後藤もいい味出してるけど、恋人とのシーンになると違和感あり。ジャルジャル知ってる人は先入観あるから見ないほうがいいような。 【カップリ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-08-22 01:57:09) |
3.う~ん、期待はしていなかったが、まぁ~まぁ~かな..ジャルジャルをよく知らなかったせいか、(所々演技がヘタだが)勇気役の後藤淳平がイイ味を出していた..しかし、残念ながら映画としては、前半と、後半が、上手く噛み合っていない..描きたかった後半に、あの前半の○○はないだろう..“ワル”は、徹底的に、“ワル”で描かないと、中途半端..集団リンチ、そして○○まで、平然とやってのける “必然性” がまったく感じられない..勉の兄、拓也も見かけ倒しで、かなりガッカリ..チンピラを相手に、どこまで、何をしようとしたのか?一方的にボコってケリがつくとは到底考えられない..カタギがバック無しに何が出来るのか..理解に苦しむ..(普通、相手が何者か確かめてからやるでしょう~) 勇気も、常識人すぎる..登場してから○○までの言動からすると、後半、まったく説得力が無い..バカで、非常識な奴でないと、あんな事にはならないだろうに..元自衛隊員という設定も全然活かされてない..やはり、話題性を重視した弊害が、脚本に出ている..○○を活かすなら、あの後半はないし、後半を活かすなら、○○はいらない..せめて、勉と拓也が、大物ヤクザの息子なら、つじつま合うんだけどね~.. 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-11 13:05:29) |
2.《ネタバレ》 井筒監督作品をちゃんと見るのは今作がはじめてな私にとって、イメージ通りの「らしい」という部分もあったが、それに加えて、心理描写の細かいところを描くのがうまいなと感じた。映画にはあまり登場しないが、現実には多く存在する主人公勇気(福徳の演技)の存在が特に素晴らしい。ただ、途中からラストをどうまとめるのか気になりながら見ていたが、ふたりのユウキだけに留まっているところが非常に残念だった。 【コショリン】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-11-30 04:00:21) |
1.《ネタバレ》 ラジオから流れ出した軽快なエンディング曲『SOS』がドラマの哀切と一種の対位となり、効果を挙げる。その70年代の曲調が映画に陽性の余韻をもたらすかと思いきや、最後に再びラジオ音源へと戻ることでシビアな現実への回帰をダメ押しする。空疎感と厳しさと温かみが綯い交ぜとなった絶妙なバランス加減。または夜のアパート、後藤淳平とちすんが語り合う静かなシーンで、突然後藤の腹が鳴って二人は笑う。その悲喜の組み合わせが何とも言えぬ切ない情感と人間味をさらに引き立てる。『のど自慢』の秀逸なバリカンのシーンを思い起こさせるような、泣き笑いの結合の演出はいまだ健在だ。それは、各々の役者が独特な個性を体現し、ぶっきらぼうであったり所在なさげであったりという佇まい自体がこの作品によく嵌っている事にもよる。特に夜のシーンが多いが、その暗がりの中に浮かび上がる眼の光、顔の艶光、硬く強張る表情だけで以って画面に強度を与えている。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-06-25 21:31:53) |